重賞ウィナーレポート

2013年04月28日 天皇賞(春) G1

2013年04月28日 京都競馬場 晴 良 芝 3200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:フェノーメノ

プロフィール

生年月日
2009年04月20日 04歳
性別/毛色
牡/青鹿毛
戦績
国内:11戦6勝
総収得賞金
629,108,000円
ステイゴールド
母 (母父)
ディラローシェ(IRE)  by  デインヒル(USA)
馬主
(有) サンデーレーシング
生産者
追分ファーム (平取)
調教師
戸田 博文
騎手
蛯名 正義
  • 母ディラローシェ(ディープインパクトを受胎中)
    母ディラローシェ(ディープインパクトを受胎中)
  • 殊勲のディラローシェと追分ファームの皆さん
    殊勲のディラローシェと追分ファームの皆さん

 3強から4強へ、ついに時代は動いた。G1 3勝馬ゴールドシップが圧倒的な人気を集めた天皇賞(春)(G1)で2番人気の支持を集めたフェノーメノは、早めに集団から抜け出すと、直線で伸びあぐむゴールドシップとの差をどんどんと引き離しただけでなく、外から迫ってくるトーセンラーの追撃を振り切ってゴール。4度目の挑戦にして、初めてのG1タイトルを掴んだ。

 「前走後の調整に関しては戸田(調教師)先生からも頻繁に連絡をいただいており、その度に上手く進められているとお話をうかがっておりました。初めてとなる関西への移動でしたが、フェノーメノの性格からしても輸送でストレスをため込むような馬では無いと思っていたので、不安は感じて無かったです」と追分ファーム事務局の伊関太郎さん。天皇賞(春)(G1)は実際に競馬場までレースを見に行ったという伊関さんだが、パドックに出てきたフェノーメノの姿を見た時に、改めて順調に調整がされていたことを感じ取ったという。

 「ここに照準を絞って仕上げてきたという印象を受けたほどに、素晴らしい馬体でした。この状態なら何の不安も無くレースに臨めるとも思えました」(伊関さん)

 競馬ファンは期待を膨らませてその馬を応援する一方で、どうも重箱の隅を突っつきたくなるかのようにあら探しをするきらいもある。フェノーメノにとってそれは初めての関西遠征であり、そして初めてとなる3200mの距離だった。

 「距離に関する不安も無かったですね。3歳時は天皇賞(秋)(G1)と菊花賞(G1)にどちらに出走しようかという選択をしていた馬ですし、鞍上の蛯名騎手は『菊花賞(G1)でも大丈夫』と話していたほどに折り合いにも自信があったのでしょう」(伊関さん)

 その蛯名騎手の言葉通りに、フェノーメノは横綱相撲を地でいくようなレースを見せていく。スタート後は縦長となった隊列を中団で構えると、2周目の3コーナーから一気にポジションをあげていき、最後の直線では先頭に立つ。その時、目の前にあったのは悲願のG1制覇というゴールだった。

 「完璧な競馬でした。レースは戸田先生と一緒に見ていましたが、一緒に喜びを分かち合えることができたことも嬉しかったです」(伊関さん)

 3歳時はG1で2度の2着と惜しいレースが続いていたフェノーメノであるが、前走の日経賞(G2)、そしてこの天皇賞(春)(G1)と、これまでの競走生活で2度しか掲示板を外したことのないという堅実さに加えて、4歳を迎えて「強さ」も証明し始めた印象がある。

 「最近のレースを見ていても、3歳時から進化し続けているなという印象を受けます。心身共に更なる成長を果たしたことで、より力を発揮できるようになってきているのかもしれません」(伊関さん)

 3強の1頭となるゴールドシップに先着してG1ウイナーとなったことで、4強の仲間入りを果たしたのではないのでしょうか、との質問を向けると、伊関さんはやんわりとその意図を否定する。

 「3強と呼ばれる馬たちはG1レースを3つも4つも勝っているような馬ばかり。そこにようやくG1レースを1つ勝てたフェノーメノが並べたとは思っていないです。それでもあの強い3頭に迫れるところまでは来ていると思うので、これからは直接戦うことも増えるでしょうが、その中でG1タイトルを勝ち取ってくれればと思います」(伊関さん)

 フェノーメノの次走は宝塚記念(G1)を予定。ここにはゴールドシップ、ジェンティルドンナ、オルフェーヴルの3強が出走を予定している。この3強全てにフェノーメノが先着し、そして2つ目のG1タイトルを掴んだその時、ファンは4強からフェノーメノが「1強」に抜けだしたとの見方をするかも知れない。