2013年04月07日 桜花賞 G1
優勝馬:アユサン
プロフィール
- 生年月日
- 2010年02月21日 03歳
- 性別/毛色
- 牝/鹿毛
- 戦績
- 国内:5戦2勝
- 総収得賞金
- 158,745,000円
- 母 (母父)
- バイザキャット(USA) by Storm Cat(USA)
- 馬主
- 星野 壽市
- 生産者
- 下河辺牧場 (門別)
- 調教師
- 手塚 貴久
- 騎手
- C.デムーロ
混戦模様の桜花賞(G1)を制したのは、7番人気のアユサンだった。
レースは、1番人気に推されたクロフネサプライズが4コーナーで先頭へ。このまま押し切ると思われたが、坂を上がるとアユサン、レッドオーヴァルの2頭が抜け出し壮絶な叩き合いを展開した。最後のひと伸びでアユサンがクビ差凌ぎきったところでゴール。桜の女王に輝いた。
アユサンの故郷は、日高町の下河辺牧場。ちょうど10年前も後の三冠牝馬となるスティルインラブの桜花賞(G1)制覇に沸いていたであろう牧場だ。毎年多くの重賞勝ち馬を送り出している名門牧場だが、意外なことに中央G1勝利は2004年のオークス(G1)を制したダイワエルシエーロまで遡らなくてはならない。
お話を伺ったのは、育成を担当している下河辺隆行さん。「当日は両親と兄が競馬場へ応援に行ったので、自分は牧場に残り留守番していました。レースを集中して見れるように、早め早めに雑務を終えて、よし!見るぞ!という感じでテレビに向かいました」と笑う。
直線、2着の馬に交わされたときは負けを覚悟したという隆行さん。しかしそこから更に差し返す根性を見せたアユサンには驚かされたそうだ。「追い切りの後、管理している手塚調教師から直接電話を貰ったんですよ。凄く調子いいよ!って。手塚先生との付き合いは結構長いんですが、こんなことははじめて。これはよほど状態がいいんだなと期待はしていました。だけどこんな強い勝ち方が出来るとは…」と振り返った。勝利の余韻に浸れたのはほんの数分、お祝いの電話対応や三輪茂日高町長らの来訪など、慌ただしく時間が過ぎて行った。「G1ともなるとお祝いに駆け付けてくれる方の数もケタ違いですから、留守番してて良かったです」。
アユサンの母、バイザキャットは父俊行さん、長男行雄さん、次男隆行さんの3人で米国キーンランドのセールへ出向き購入を決めた。「ちょっと繊細な面もあるけど、子育ても上手だし手のかからない馬です。母父ストームキャットの影響か産駒は馬格があってガッチリした馬が多いですね。アユサンも小さい頃から手のかかった記憶はありません。トモに緩さを残したまま成長していって、それが今、バネに変わってあの走りが出来てるんだと思います」と当時の記憶と現在の姿を照らし合わせた。
故郷に一足早い桜の便りを届けたアユサン。次は二冠目、樫の女王を狙う。「生産牧場としては、とにかく無事に頑張って欲しい。それにいい結果が付いて来てくれればなお嬉しいというところですよね」と最後まで笑顔を絶やさなかった隆行さん。北海道も新緑の季節を迎える5月、再びこの笑顔に出逢えることを期待したい。