2013年03月21日 桜花賞(GDJ)
優勝馬:イチリュウ
プロフィール
- 生年月日
- 2010年05月08日 03歳
- 性別/毛色
- 牝/鹿毛
- 戦績
- 国内:8戦3勝
- 総収得賞金
- 43,190,000円
- 父
- キングヘイロー
- 母 (母父)
- キハク by アサティス(USA)
- 馬主
- (有) グランド牧場
- 生産者
- グランド牧場 (静内)
- 調教師
- 内田 勝義
- 騎手
- 的場 文男
1枠1番からスタートしたコテキタイがまんまと逃げ切った桜花賞(浦和)から丸1年。まるで昨年のリプレイを見るかのように、1枠1番を飛び出たイチリュウがハナを奪い、今年の桜花賞を逃げ切って勝利した。この2頭はいずれもグランド牧場のオーナーブリーディングホース。しかも同じ内田勝義厩舎(川崎)所属。南関東牝馬クラシック第1弾、そして『グランダム・ジャパン』3歳シーズンの第2戦でもある桜花賞を、同馬主、同厩舎、同生産者の馬(ちなみに母の父も同じアサティス)が、同枠から同戦法の逃げで連覇を成し遂げたことになる。
「パドックで見ていて、馬の成長を感じました。独特のコース形態が影響したのか、最初のコーナーで手前が変わらずに心配しましたが、うまく立ち回ってくれましたね。強い内容でした。優勝できて嬉しいです」とレースを振り返ってくれたのは、グランド牧場の伊藤佳幸社長。昨年のNARグランプリにおいて、生産馬のラブミーチャンが年度代表馬に、そして生産・所有馬のハニーパイが2歳最優秀牝馬に選出されるなどの輝かしい結果を残したが、今年もその勢いは止まりそうになさそうだ。
「牧場が長くつないでいる血統ですからね。この勝利は特別な思いです」と感慨深く話すのは、同牧場で中間育成主任を務める前山友厚さん。グランドターキン~ノースフェイス~ウイニングベット~キハクと、グランド牧場が40年以上かけて大切につないできた牝系から誕生した南関東クラシック馬。オーナーブリーダーとしての思い入れは、その年月に比例して重みを増してきたことだろう。「生まれて間もない頃から、見栄えのするあか抜けた馬でしたね。体は大きくて、気性は素直。手のかからない馬でした。体型は母に似ていたと思います」と、イチリュウの幼少期を思い起こしてくれた。
イチリュウの母キハクは、中央で新馬勝ちした後、牝馬クラシックのオークス(G1)まで駒を進め、エアグルーヴやファイトガリバー、エリモシックらと戦った経歴がある。9戦3勝の戦績を残してグランド牧場へ里帰りし、4歳で早々と繁殖生活に入った。すると、4番仔のレーザーズエッジ(父グラスワンダー)がダイヤモンドS(Jpn3)3着、7番仔のホウザン(父タイキシャトル)は札幌2歳S(Jpn3)3着、北海道2歳優駿(Jpn3)2着、9番仔のブンブイチドウ(父アフリート)は北海道2歳優駿(Jpn3)3着、全日本2歳優駿(Jpn1)2着と、重賞で好成績を収める馬が続々と誕生。そしてキングヘイローとの交配で12番仔として生まれてきたのがイチリュウだった。
「母のキハクは今年20歳となりますが、年齢以上に若々しいですね。気性のキツい面があるものの、仔馬をよく可愛がります。現在はサウスヴィグラスの仔を受胎中です」と殊勲の母を紹介してくれた。2009年には6番仔プリモタイム(父ブライアンズタイム)が繁殖入りし、順調に次世代へと枝葉は広がっている。
さらに牧場では、イチリュウの半弟となる1歳馬(父サウスヴィグラス)が順調に育っている。「この馬も素直な気性をしています。柔軟性に富んだ動きを見せていて、期待は大きいです」と、半弟に対する評価もうなぎ上り。姉を超える馬に成長してほしいとの願いを込めて、“チョウイチリュウ(超一流)”という愛称で呼ばれているそうだ。
「イチリュウは今後、関東オークス(Jpn2)が大目標となるでしょう。父はキングヘイローで、母はクラシック出走馬。血統的には芝でも楽しみです」と、先々のJRA挑戦も視野に入れる伊藤社長。『グランダム・ジャパン』をステップに、大きな夢を見れそうな牝馬がまた1頭、名門グランド牧場から誕生した。