2013年02月17日 小倉大賞典 G3
優勝馬:ヒットザターゲット
プロフィール
- 生年月日
- 2008年03月06日 05歳
- 性別/毛色
- 牡/栗毛
- 戦績
- 国内:24戦7勝
- 総収得賞金
- 404,663,000円
- 馬主
- 前田 晋二
- 生産者
- ノースヒルズマネジメント (新冠)
- 調教師
- 加藤 敬二
- 騎手
- 大野 拓弥
今年最初の小倉重賞、小倉大賞典(G3)はヒットザターゲットが中団から鋭く抜け出し、重賞2勝目を飾った。
本馬の生産は新冠町美宇に構えるノースヒルズ。過去にはアーネストリー、トランセンド、ノーリーズン、ビートブラック、ファレノプシス、ヘヴンリーロマンスら生産馬が、オーブルチェフ、ギルデッドエージ、スティルインラブ、ビリーヴ、レギュラーメンバー、ローブデコルテ、ロジックら育成馬がG1(Jpn1)を制覇し、近年は6世代連続で重賞馬を送り出している。今年2月は生産・育成馬クラレントが東京新聞杯(G3)を制し、春に向けて勢いがついている。
繁殖牝馬たちの出産が始まり、慌ただしくなりつつある2月。同牧場マネージャーの福田洋志さんは、スタッフみんなと事務所のテレビでレースを観戦していた。
「今回は生産馬の2頭出し(ヒットザターゲットとダコール)で、レースは双方を追いかけながら見ていました。2頭とも中盤まで同じような位置にいて、勝負所から内に進路をとったのがヒットザターゲット、外に進路をとったのがダコール。先にダコールが突き抜けるような脚色でしたが、ヒットザターゲットが負けじと内から伸びましたね。鞍上の大野騎手が能力を最大限に引き出してくれました。この馬の母ラティールも牧場生産馬(旧名称マエコウファーム生産)で、長く付き合っている血統だけに、この活躍は感慨深いです。重賞で生産馬が1・2着というのは…恐らく初めてのことだと思います。最高の結果となりましたね。」と、興奮をよみがえらせる。
2歳夏、早期デビューが叶ったように、デビューに至るまでの本馬はすこぶる順調に育ったという。「とても健康で、ケガや病気とは無縁でした。デビュー後もケガなく走っているように、体のしっかりとした馬です。幼少期から見栄えのする馬で、“この世代の中では一番”と太鼓判を押していたスタッフもいました。」と、福田さんは振り返る。勝ち上がったのは3歳夏とやや時間を要したが、当時は菊花賞(G1)出走を意識していたほど、管理する加藤敬二調教師、牧場サイドは素質の片りんを感じていた。
母ラティールは現役時代5勝。3歳時にはオークス(G1)で勝ち馬から0.5秒差の4着。タマモクロス産駒らしく古馬になってからも力をつけ、4歳時に愛知杯(G3)で2着、5歳時も同レースで3着、6歳時に中山牝馬S(G3)で3着と好走を重ねた。福田さんは、「重賞こそ勝てませんでしたが、現役時代は丈夫に息長く走ってくれました。今年18歳となりますが、元気に繁殖生活を送っています。現在はキングカメハメハを受胎中です。扱いやすい馬で、子育ても上手。配合種牡馬の長所を引き出すタイプです。」と、紹介する。年齢のせいか芦毛の馬体は白さを増してきたが、重賞馬の母として静かなオーラを漂わせている。
今年2歳には本馬の全妹がおり、同牧場グループの調教施設・大山ヒルズ(鳥取県)で育成している。福田さんによれば、「牝馬ということもあり、ヒットザターゲットに比べるとひと回り小さいですが、トモの発達した馬です。順調に調教を積めているので、比較的早い時期にデビューできるかもしれませんね。」と、近況は明るい。こちらは母と同じ芦毛馬。栗東・角田晃一厩舎入厩予定となっている。
4歳春に初重賞制覇を果たし、5歳になって重賞2勝目。母は3歳~6歳まで高いパフォーマンスを維持していただけに、なぞるように息子も良い走りを続けていけるだろう。
「競走馬として充実してきたと思いますし、楽しみが広がりますね。賞金も加算できましたし、再び大舞台にチャレンジして欲しいです。」と、福田さんは期待を込める。
戦績を見ると、デビューからほとんどを芝中距離戦に費やしてきた本馬。芝1800m、芝2000mの重賞を勝ち、より一層、的は定まってきた印象だ。右回りも左回りも問題なく、不得意な季節もない。遠征競馬も問題ない。上半期のグランプリ、サマー2000シリーズ、秋の盾、海外G1…次なるターゲットはどこだろう。今回のように2ケタ着順後でもあっさり巻き返すタイプだけに、今後も穴党ファンに美味しいオッズを狙われるのではないだろうか。