重賞ウィナーレポート

2012年10月21日 菊花賞 G1

2012年10月21日 京都競馬場 晴 良 芝 3000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ゴールドシップ

プロフィール

生年月日
2009年03月06日 03歳
性別/毛色
牡/芦毛
戦績
国内:9戦6勝
総収得賞金
1,397,767,000円
ステイゴールド
母 (母父)
ポイントフラッグ  by  メジロマックイーン
馬主
小林 英一
生産者
出口牧場 (門別)
調教師
須貝 尚介
騎手
内田 博幸
  • 二冠馬の母となったポイントフラッグ
    二冠馬の母となったポイントフラッグ
  • 秋空の下、のんびりと過ごす繁殖牝馬たち
    秋空の下、のんびりと過ごす繁殖牝馬たち
  • 牧場の周辺は紅葉が進んでいる
    牧場の周辺は紅葉が進んでいる
  • 牧場看板
    牧場看板

 クラシックレースの勝利もそうだが、クラシックレースの一番人気という評価も、その馬を送り出した生産者には誇るべきことではないだろうか。

 第73回菊花賞(G1)。出走を予定していたダービー馬のディープブリランテがレース前に故障を発症し回避、一番人気に支持されたのは皐月賞馬のゴールドシップ。前走の神戸新聞杯(G2)で力の違いを見せつけ、父ステイゴールド、母父メジロマックイーンという配合は、昨年の三冠馬オルフェーヴル(牡4・池江)と同じなど、支持を集める理由は幾つもあった。

 「これだけの支持をファンの方が与えてくれたことに関しては、嬉しさと同時に何かしらのプレッシャーも感じていました。自分としては何もできるわけではないのですが、ただ、応援してくださる方の期待に応えて欲しいという気持ちだけでした」とは、ゴールドシップの生産者である出口俊一社長。これまでゴールドシップを応援に出かけた三冠レースの中で、最も緊張しながらレースを見ていたということも、笑顔を浮かべながら教えてくれる。

 「最内枠からのスタートで、しかもスタートしてからは最後方を進む形となりましたが、隊列が長くなるレースですし、包まれるのなら後ろからレースを進めた方がいいと思っていました」(出口社長)

 しかし、流れが落ち着いたかに思えた向こう正面から、ゴールドシップは進出を開始。「ゆっくり上って、ゆっくり下る」という京都競馬場の第3コーナーにある坂を無視するかのように、まくって順位を上げていきながら、直線手前では先頭に躍り出ていた。

 「内田騎手はゴールドシップのことを信じて、ああいった乗り方を選んでくれたのでしょうが、自分としては仕掛けが早いのでは?と心配になりました。直線では後続馬との差ばかりが気になっていました」(出口社長)

 それも「ファンの支持に応える結果を残して欲しい」という、出口社長の気持ちの表れだったのかもしれない。菊花賞(G1)の後、出口社長はレースを回顧する記事で、「ミスターシービーのよう」という表現を見て、それだけの馬に並ぶだけの結果とレースを見せてくれたことに対して、どこかホッとした思いを抱いたとも言う。

 このレースの後、陣営からは有馬記念(G1)への出走の意志が伝えられた。ゴールドシップにとって、これが初めての古馬との戦いとなる。「有馬記念(G1)は挑戦者として挑めるので、菊花賞(G1)のようなプレッシャーからは開放されるのではないのでしょうか。一流馬も揃うでしょうし、胸を借りる気で走ってくれればと思いますが、皐月賞(G1)で勝っている中山コース、そして右回りの方が力を出せる気もしていますので、楽しみながら応援ができたらとも思っています」(出口社長)

 今年の3歳馬は強いとされているが、その強い世代の中で、2度に渡ってクラシックを制したのがゴールドシップ。コース適性、順調度、そして成長力と有馬記念(G1)に向けてこの上ない状態で出走できることは間違い無さそうなだけに、次は人気ではなく、結果で「一番」となり得ることも、十分に考えられる。