2012年09月23日 神戸新聞杯 G2
優勝馬:ゴールドシップ
プロフィール
- 生年月日
- 2009年03月06日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/芦毛
- 戦績
- 国内:8戦5勝
- 総収得賞金
- 1,397,767,000円
- 馬主
- 小林 英一
- 生産者
- 出口牧場 (門別)
- 調教師
- 須貝 尚介
- 騎手
- 内田 博幸
クラシック最終戦・菊花賞(G1)へ向けてのトライアル、神戸新聞杯(G2)はゴールドシップが人気に応えて完勝。上半期の実績馬、夏の新興勢力を打ち破り、クラシックホースの貫録を見せつけた。
本馬の生産は日高町の出口牧場。過去には1988年のアルゼンチン共和国杯(G2)を制したレジェンドテイオーや、2000年のダイヤモンドS(G3)で2着に好走したジョーヤマト、昨年の桜花賞(G1)に駒を進めたウッドシップを生産している。
同牧場代表の出口俊一さんにレースの感想を伺うと、「優勝できて嬉しいです。3~4コーナーで徐々に進出して、直線で力強く抜け出す競馬でしたが、ゴールするまでは不安でしたね。馬場入りの時はジャンプしていたし、いつものこの馬の感じ、ステイゴールド産駒らしさが表れていました。」と、語ってくれた。レース当日は現地、阪神競馬場で観戦されていたそうで、歓喜の口取りに入ることができた。
本馬は父ステイゴールド、母ポイントフラッグ、母の父メジロマックイーンという血統。同郷の母は2001年のチューリップ賞(G3)2着馬で、牝馬クラシックG1・2戦とエリザベス女王杯(G1)に出走歴がある。繁殖牝馬としてはこれまで7頭の仔を産み、本馬は5番仔にあたる。
「ポイントフラッグは繁殖牝馬として大きな仔を出す傾向があり、バランスを考えてステイゴールドを選びました。」と、出口さんは交配理由を伝える。母自身、現役時代は500kg台で競馬しており、産駒は初仔が470kg台、その後の仔たちは500kg前後で出走。本馬の恵まれた馬体、大きく弾むようなダイナミックな走りは、母の遺伝が起因している。
牧場時代の本馬については、「平穏無事に過ごしました。気性は父の特徴を受け継いで、許容範囲のやんちゃさでしたね。体つきは立派で、良い意味で目立つ馬でした。」と、出口さんは振り返る。1歳10月から日高町にある同牧場育成拠点(旧五輪共同育成センター)に移って本格的な育成を始め、2歳1月からは浦河町の吉澤ステーブルで鍛錬された。
同牧場には本馬の全弟となる1歳馬が生まれており、今年10月に吉澤ステーブルへと移動する。出口さんは、「ゴールドシップと気性は似ていますが、タイプは少し違いますね。ひと夏越して、だいぶ大きくなってきました。順調に育っています。」と、紹介。こちらも本馬と同じチームでデビューへの準備を進めている。
前哨戦を勝利で飾り、次走予定の菊花賞(G1)でも高い支持を集めそうな本馬。人気を背負う関係者の胸の高鳴り、緊張感はいかばかりかと思いきや、当事者は意外と冷静なことが多い。出口さんもそういった様子でいる。
「無事に本番のレースを迎えて、いつもと同じで、無事に走ってきて欲しいと願うばかりです。長年牧場をやっていて、G1レースのパドックの中で、自分の生産馬を眺めるのが一つの目標でした。皐月賞の時は冷静に見ていられましたが、ダービーの時は独特の異様な雰囲気を感じましたね。応援幕もあって、嬉しかったです。ゴールドシップは日高の生まれで、まだ3歳。長く日高全体を元気づけられる馬にもなれたらと思っています。」
淀で躍動する本馬には、また大声援が届けられるだろう。出口さんも菊花賞(G1)当日は現地、京都競馬場に駆けつける。祖父は菊花賞馬、父も長距離G1馬を生んでいる血統背景から、距離延長は歓迎のはず。多くのファンを惹きつけるスターホースへ、その階段にまた一歩上がる瞬間が近づいている。