2012年06月24日 宝塚記念 G1
優勝馬:オルフェーヴル
プロフィール
- 生年月日
- 2008年05月14日 04歳
- 性別/毛色
- 牡/栗毛
- 戦績
- 国内:14戦8勝
- 総収得賞金
- 1,344,084,000円
- 馬主
- (有) サンデーレーシング
- 生産者
- (有)社台コーポレーション白老ファーム (白老)
- 調教師
- 池江 泰寿
- 騎手
- 池添 謙一
白老ファームの石垣節雄繁殖主任が、競馬場へオルフェーヴルの応援に行ったのは、三冠を達成した菊花賞(G1)以来である。
「その時は張りも感じられ、動きにも弾けそうな印象がありました。でも、今回、パドックで見たオルフェーヴルは、正直、寂しく映ったのは事実です」(石垣さん)
それは石垣さんだけでなく、この日のオルフェーヴルの姿を見た誰もが思ったことではないのだろうか。最終追い切りの後、管理をする池江調教師から伝えられたコメントは「いい時の7割の出来」というもの。その言葉はパドックでオルフェーヴルを見たとき、少なからずマイナスへと繋がったに違いない。
ただ、どこか枯れたようなこの日のオルフェーヴルの姿を見たとき、石垣さんはこれまでに感じたことの無かった、ある馬の姿を重ね合わせていた。
「これまではノーザンテーストが出ているなと思っていたのですが、初めて父であるステイゴールドぽいなと思っていました」
それは枯れた感じが小柄な馬体をしていた父を彷彿させたのか、はたまた成長と共に父に似てきたのかは分からなかったという。ただ、印象はどうであれ、レースに向けて石垣さんが最も気がかりだったのは、持ち前の闘争心が戻っているか否かだったという。
「走る方に気持ちが向けば、どの位置からでもいい結果を残してくれるはずと思いながら、レースを見ていました」(石垣さん)
レースでは引っかかることもなく、中団でレースを進めていたオルフェーヴルは、荒れた内馬場を避けて馬群が外に広がったとき、ぽっかりと開いたインコースを進路に選ぶ。その時、闘志のスイッチが入った。あっという間に馬群から抜け出すと、オルフェーヴルは後続との差をどんどん広げていく。疑心暗鬼の声もあったが、ファン投票第一位、そしてこの日の単勝オッズも一番人気。オルフェーヴルはファンの期待に応えて先頭でゴール板を駆け抜けた。
「新聞の評価こそ割れていましたが、ファンの方の支持に応えることができたのが、牧場の関係者として嬉しいことです。改めてオルフェーヴルを信じて、そして応援してくださった方々に感謝したいです」(石垣さん)
この勝利で、一時は閉ざされたような印象すらあった、今後の展望が開けた。陣営からは凱旋門賞(G1)出走を含めた、今後のローテーションが近々発表される。また、敗戦をバネに勝利したというのは、オルフェーヴルの成長力、そして進化を感じさせた。
「血統的にもまだまだ奥のある馬ですし、これからどんな舞台でどんなレースを見せてくれるのか、僕らとしても楽しみです」(石垣さん)
その石垣さんがパドックでオルフェーヴルと重ね合わせた父ステイゴールドの姿。思えばステイゴールドが初めてG1レースを制したのは、7歳の暮れの香港ヴァーズ(G1)でのこと。今後、オルフェーヴルにステイゴールドの遺伝力が発揮されてくるようだと、年齢を重ねてまだまだ強くなるはず。そして敗戦を糧に勝利へと繋げる姿もまた、ステイゴールドを彷彿とさせている。オルフェーヴルの全盛期は、この宝塚記念(G1)から始まったとも言えそうだ。