2012年05月13日 ヴィクトリアマイル G1
優勝馬:ホエールキャプチャ
プロフィール
- 生年月日
- 2008年02月24日 04歳
- 性別/毛色
- 牝/芦毛
- 戦績
- 国内:13戦5勝
- 総収得賞金
- 532,316,000円
- 母 (母父)
- グローバルピース by サンデーサイレンス(USA)
- 馬主
- 嶋田 賢
- 生産者
- 千代田牧場 (静内)
- 調教師
- 田中 清隆
- 騎手
- 横山 典弘
勝利の女神はときに残酷で、そして気まぐれだ。
努力を惜しむものに微笑みかけることはないが、積み重ねた努力の重さが、イコール成功の約束でもない。
ホエールキャプチャは、ここまでG1競走で5走して2着2回3着2回4着1回。2歳時から常に牝馬G1戦線で人気の中心となり、レースでもその人気に違わぬ強さを示してきた。しかし、その度につかみかけた栄光は手からするりとこぼれ落ちていった。
そんなホエールキャプチャにとって、のどから手がでるくらいに欲しかったG1タイトル。その瞬間は、あっけないほど簡単にやってきた。好スタートからすんなり好位をキープすると、直線では早めにスパート。まるで、東京競馬場の長い直線を楽しむかのように軽やかに駆け抜けた。同世代の桜花賞馬マルセリーナ、秋華賞(G1)で後塵を拝したキョウワジャンヌ、そして1世代上の三冠牝馬アパパネも、この日のホエールキャプチャにとっては敵ではなかった。
「本当に嬉しい勝利になりました。ここまで、悔しい思いを重ねてきましたから、余計に嬉しいです。この勝利は、信念の勝利です」と同馬を生産した千代田牧場の飯田正剛社長は声を弾ませた。「血統、特にファミリーというのは、意思を持って創りあげるもの」という考えに基づき、1987年のエリザベス女王杯(G1)に勝った名牝タレンティドガールを英国に運んで、同国の2冠馬ナシュワンを配合した。1991年のことだ。タレンティドガールは1907年に英国から輸入されたビューチフルドリーマーにさかのぼる血統。84年という時間を経て、日本で育てた名血を英国に送り返す計画を立てたのだ。ホエールキャプチャの祖母エミネントガールは、そんな経緯で生まれている。それから20年。ホエールキャプチャが牧場の夢を現実のものとした。
「嶋田オーナーは、当牧場の生産馬名簿を見て、ホエールキャプチャが生まれる前から気にいってくださいました。生産者として、その気持ちに応えることができたことが一番嬉しいです」と充実感に満ちた顔で話してくれた。
ホエールキャプチャが生まれた千代田牧場は、北海道と千葉の牧場を有効に使いながらイチフジイサミ(天皇賞(春))ビクトリアクラウン(エリザベス女王杯)ニッポーテイオー(天皇賞(秋)(G1)などG1レース3勝)タレンティドガール(エリザベス女王杯(G1))スマイルトゥモロー(オークス(G1))ピースオブワールド(阪神ジュベナイルフィリーズ(G1))など数々の名馬を送り出してきた。G1勝利は2005年のかしわ記念(G1)(勝馬ストロングブラッド)以来7年ぶり。飯田社長は「長かったです」と万感の思いを込めてひと言。そして、次々と牧場に届けられる花や酒を前に「応援してくれる人のためにも、もっと上を目指したい」という言葉に力を込めた。