重賞ウィナーレポート

2012年04月21日 福島牝馬S G3

2012年04月21日 福島競馬場 晴 良 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:オールザットジャズ

プロフィール

生年月日
2008年02月24日 04歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:11戦5勝
総収得賞金
185,218,000円
タニノギムレット
母 (母父)
ダイヤモンドピサ  by  サンデーサイレンス(USA)
馬主
市川 義美
生産者
フジワラフアーム (静内)
調教師
角居 勝彦
騎手
藤岡 佑介
  • 母ダイヤモンドピサ
    母ダイヤモンドピサ
  • 寄り添う当歳は父クロフネの牡馬
    寄り添う当歳は父クロフネの牡馬
  • 姉と同じ2月24日生まれの当歳
    姉と同じ2月24日生まれの当歳

 東日本大震災の影響で中止していた福島競馬がいよいよ再開。震災後はじめての重賞レースとなる福島牝馬S(G3)は、1番人気に推されたオールザットジャズが、直線軽やかに抜け出し、04年オースミコスモの記録を0秒5短縮するレースレコード(1分46秒1)をマークして重賞初制覇を飾った。

 本馬を生産したのは新ひだか町のフジワラファーム。1975年の菊花賞馬コクサイプリンス、2000年のフェブラリーS(G1)を制したウイングアロー、2007年全日本2歳優駿(Jpn1)勝ち馬イイデケンシンなど、コンスタントに重賞級の活躍馬を送り出している老舗牧場だ。

 繁殖スタッフの永井立夫さんは、他のスタッフと共に忙しい厩舎作業の手を休め、厩舎のテレビで観戦した。

 「条件戦を連勝して、前走中山牝馬S(G3)でも2着と安定した成績を残してましたからね。人気もあったし期待しない理由がありませんでしたよ。抜群の手応えで直線を向いたときにはもう勝った!やった!とみんなで大騒ぎでした」と歓喜の瞬間を振り返った。牧場にとって5年振りとなる重賞制覇。その日は美酒に酔いしれたという。

 母ダイヤモンドピサは、放牧地で6番仔となる父クロフネの牡馬と一緒に草を食んでいた。2月生まれの当歳は母親の側にピッタリと寄り添い、かなりの甘えん坊のよう。「毎年しっかりした子供を産んでいて、デビューした産駒は1勝以上している優秀なお母さんです。子出しも良く、性格も良く全く手がかからない。こんな楽な繁殖はちょっと珍しいくらいですよ」と普段一番近くにいるスタッフからも高い評価を得ている。

 そんな母の2番仔として誕生したオールザットジャズも、当歳時から注目を集めていたそうで「気が強くて同い年の牡馬を引き連れて歩いてるような女ボスでした。離乳して育成に移ってからもどんどん良くなって、牝馬の1番馬だと絶賛されていたんです。だから、今回重賞を勝ってみんなあの馬ならやってくれると思った、という感想なんですよ」と永井さんは目を細めた。

 素質馬がその素質を開花させた。次走はヴィクトリアマイル(G1)。相手は強豪揃いだが、自分よりも大きい相手に臆することなく立ち向かって行った当歳時の姿が永井さんの記憶の中でオーバーラップする。

 「G1制覇はウイングアロー以来12年振りで、悲願でもあります。デビューから1年でここまで駆け上がってくれた。オールザットジャズならきっと叶えてくれるでしょう」と熱いエールを送った。