2012年04月15日 皐月賞 G1
優勝馬:ゴールドシップ
プロフィール
- 生年月日
- 2009年03月06日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/芦毛
- 戦績
- 国内:6戦4勝
- 総収得賞金
- 1,397,767,000円
- 馬主
- 小林 英一
- 生産者
- 出口牧場 (門別)
- 調教師
- 須貝 尚介
- 騎手
- 内田 博幸
牡馬3冠の初戦、皐月賞(G1)は、昨年の3冠馬オルフェーヴルと同じ配合から生まれたゴールドシップがポッカリと空いたインコースを突き抜けて優勝。生産者の出口牧場と馬主の小林英一氏、そして須貝尚介調教師に初のG1タイトルを贈った。
同馬を生産した出口牧場は過去、アルゼンチン共和国杯(G2)を勝ったレジェンドテイオー(天皇賞(秋)(G1)2着)や88年京成杯(G3)2着、共同通信杯(G3)2着のモガミファニー、00年ダイヤモンドS(G3)2着のジョーヤマトなどを生産している。
「前日に種付けがありましたし、出産の近い馬もいましたので、競馬場への応援は日帰りでした。私たちのような牧場ではこの舞台に立てたことが嬉しかったです」と出口俊一社長。スタートして、1周目のスタンド前を最後方で通過するゴールドシップを確認したときは「正直言ってビックリした」そうだ。「ジョッキーの判断だったと思いますが、前哨戦とは違う乗り方でしたからね。向こう正面でインコースをあがっていったのは確認できましたが、3~4角では一瞬ですが馬を見失ってしまいました。それでも4角を回ってからは声が出ましたね。最高の結果で嬉しい限りです。オーナーと厩舎関係者、ジョッキー、そしてこの馬に携わったすべての人に感謝したい」と声を弾ませた。
そんな愛馬優勝の余韻に浸る間もなく帰路についた出口社長を迎えたのは、それまで見たこともないほどの花と祝い酒、そして出口さんの帰りを待っていた仲間たちだった。「たくさんの人たちが、馬を応援してくれた。その気持ちが嬉しかった」と感激を新たにした。
ゴールドシップの母馬ポイントフラッグは二人三脚で頑張っている出口さんの実弟、悟さんの牧場で生まれている。2001年のチューリップ賞(G3)2着と桜花賞戦線で活躍したあと出口牧場で繁殖牝馬になった。「母親自身も大きな馬なんですが、子供も大きく出す傾向が強いんです」。いろいろ工夫するなかで選ばれたのが馬格の小さなステイゴールドだった。「今でこそ“黄金配合”なんていわれていますが、配合するときはオルフェーヴルの活躍は予想できません」と笑った。牧場時代は「やっぱり大きかったですね。よい意味で目立つ馬でしたよ」と、当時を振り返る。
現在、母のポイントフラッグはステイゴールドの仔を受胎している。出産予定日はダービーの8日前となる5月19日。2歳にはフジキセキの牝馬がいて、ゴールドシップと同じ浦河町の吉澤ステーブルで育成中。1歳は「こちらの方がステイゴールドに似ているかもしれない」という全弟だ。「例年、出産が予定日よりも少し遅れる傾向がある母親なんです。ダービーはもちろん応援に行きたいですが、生まれてくる子も大切です。正直、今の段階では(行けるかどうか)わかりません」と家族労働ならではの悩みを見せた。今年の配合についても「出産したあとの繁殖牝馬の状態をみないとわかりません」と慎重な姿勢を見せている。「とにかく、無事に生まれてくれること。そして無事に育って、無事に競馬場でデビューしてくれること」と生産者ならではの言葉で期待を口にした。
そして、「この勝利が苦楽をともにした生産者仲間を励まし、ひとりでも多くの馬主さんが日高に目を向けてくれるきっかけになるのなら、嬉しいです」。とインタビューを締めくくった。