2012年03月19日 若草賞(GDJ)
優勝馬:キミニコイシテ
プロフィール
- 生年月日
- 2009年04月03日 03歳
- 性別/毛色
- 牝/黒鹿毛
- 戦績
- 国内:12戦2勝
- 総収得賞金
- 5,388,000円
- 母 (母父)
- レディズレストラン by クリエイター(GB)
- 馬主
- 柴田 浩二
- 生産者
- 棚川 光男 (静内)
- 調教師
- 伊藤 強一
- 騎手
- 尾島 徹
牝馬競走の振興を目的に2010年にスタートした『グランダム・ジャパン』シリーズも今年で3年目を迎える。2012年3歳シーズンの初戦は「若草賞」。3月19日(月)に広島県の福山競馬場ダート1800mで行われ、笠松競馬所属のキミニコイシテ(父ブラックホーク)が、5番人気ながら1分59秒4(重)のタイムで優勝した。
本馬の生産は新ひだか町静内川合の棚川光男さん。現在は、光男さん(65)とゆう子さんご夫婦、それに息子の祐志さんも手伝いながら、6頭の繁殖牝馬をけい養している。
光男さんに話を伺うと、当日はご自宅でレースを観戦し、家族みんなでキミニコイシテを応援していたそうだ。「これまで惜しい競馬を続けていたものの、なかなか勝ちきれない馬でしたからね。今回は遠征競馬でしたし、3着くらいに来てくれたらと思っていました」と話す。しかし、外枠からすんなり好位をキープしたキミニコイシテは、4コーナーをまわると尾島徹騎手の派手なアクションに応えて1完歩ごとに前との差を詰め、先に抜け出した園田競馬所属のメイレディ(1番人気)と並ぶようにゴールへと飛び込んだ。
「ゴールした直後は負けたと思ったのですが、勝ったことがわかると“やったー”って、もうそれだけでしたね」と、この日の喜びを語ってくれた。
キミニコイシテの牧場時代は、さほど目立たぬ馬だったそうだ。「母のレディズレストランは、長くお付き合いいただいている馬主さんの所有馬でした。そんな関係もあって、15歳のときにブラックホークの仔を受胎した状態で他の牧場から移動してきて、うちの牧場でキミニコイシテを出産したんです。ですから兄姉との比較はできませんが、特別に目立つ馬ではなく、馬体も普通サイズでした。1歳の春まで本場でお預かりしたのですが、大きな怪我や病気とは無縁でしたよ」と棚川さん。
その後、2歳春には北海道市場トレーニングセールに上場。当日は12秒25~11秒10の好タイムを記録したものの、声がかからず主取りになってしまった。
「その頃はもう私の手を離れていたのですが、ちょっとガッカリしましたね」と当時の気持ちを振り返るが、棚川さんの馬づくりは『グランダム・ジャパン』シリーズの華やかな舞台で、大きく花咲くことになった。
さて、キミニコイシテの『グランダム・ジャパン』3歳シーズン初戦の「若草賞」優勝で、一気に注目される存在となったのが母のレディズレストラン。キミニコイシテの前には、北海道・福山で5勝を挙げたトンメイ(父トウカイテイオー)などを産んでいたが、重賞を勝利した産駒はこれが初めて。
「背が高くて大きな馬ですが、うちの牧場へ移動してきた当初、ちょっと神経質なところがあるという話を聞いていました。それでも、さすがはベテラン牝馬だけに、出産、子育てともに問題はなかったです。今、1歳にはチアズブライトリーの牝馬がいるのですが、今年生まれる予定だった馬は早期流産してしまいました。レディズレストランも今年で19歳になりましたが、もう1度オンファイアを配合するつもりです」と改めて期待を寄せている。
「厳しい時代が続いていますが、生産馬がレースで勝利してくれると仕事の励みになります。まして自分たちのような家族経営の牧場にとって、重賞を勝つのは本当に難しいこと。だから今回の勝利は本当に嬉しかったし、これからも全国を飛び回る活躍をして、『グランダム・ジャパン』3歳チャンピオンのタイトルを狙って欲しいですね」と話す棚川さん。中央を含め、日本全国の競馬場へ遠征して頑張るキミニコイシテの活躍に、元気をもらっている様子だった。