重賞ウィナーレポート

2011年12月04日 ジャパンCダート G1

2011年12月04日 阪神競馬場 晴 良 ダ 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:トランセンド

プロフィール

生年月日
2006年03月09日 05歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:18戦10勝
総収得賞金
633,520,000円
ワイルドラッシュ(USA)
母 (母父)
シネマスコープ  by  トニービン(IRE)
馬主
前田 幸治
生産者
ノースヒルズマネジメント (新冠)
調教師
安田 隆行
騎手
藤田 伸二

 毎年ダートの一流馬が集う大一番、ジャパンカップダート(G1)は昨年の覇者トランセンドが完勝。ライバルに影をも踏ませない圧倒的な逃げ切りで、同レース史上初の連覇を成し遂げた。

 本馬の生産は新冠町のノースヒルズ。現役で走っている生産馬には宝塚記念馬アーネストリーをはじめ、リディル、トレイルブレイザー、クラレントら一線級で好勝負する馬多数。たびたびこのコーナーで紹介している牧場だ。12月は本馬のG1勝ちに加え、育成馬オーブルチェフが全日本2歳優駿(Jpn1)を制し、同牧場グループのG1(Jpn1)勝利数を14に伸ばし、今年もリーディングブリーダーで上位につけている。

 同牧場の福田洋志ゼネラルマネージャーは、「今回も本当によく頑張ってくれましたね。藤田伸二騎手の気迫のこもった騎乗に応え、強い勝ち方をしてくれました。」と、ねぎらう。当日は北海道のノースヒルズ、鳥取県の大山ヒルズからスタッフ8名が現地へ応援に駆けつけ、歓喜の瞬間を共にした。

 牧場時代の本馬については、「扱いやすい馬で、元気いっぱいに育ちました。牧場でも、育成した大山ヒルズでも評価の高い馬でした。」と、当時の本馬像を伝える。母シネマスコープは現役時代5勝。繁殖牝馬としてはこれまで9頭の仔を世に送り出している。昨年は父マンハッタンカフェの牝馬を、今年は父ゴールドアリュールの牝馬が生まれた。福田さんは、「トランセンドの妹たちも順調に成長しておりまして、デビューの日を楽しみにしております。」と、笑みをこぼす。これだけの兄を持つからには、デビュー前から高い注目を集める存在となるに違いない。

 第2のトランセンドを目指し、牧場では今年、本馬と同じワイルドラッシュを父に持つ当歳馬が誕生している。この3頭も魅力あふれるプロフィールで、この機会に紹介してみたい。まずは現オープン馬で、UAEダービー(G2)にも挑戦したレーザーバレットを兄に持つ牡馬。母ルアシェイア、祖母が桜花賞馬ファレノプシスという血統の牝馬。そして、母レッドスレッドの牝馬は祖母がシネマスコープで、トランセンドと非常に近い配合を実現している。

 「将来、トランセンドのようにダート重賞を勝てる馬になってくれたら、と期待しています。」と、福田さん。強い競走馬を幾多手がけて得たノウハウを生かし、今後も世界に通じる自信作を登場させていく。

 日本最強クラスのダート馬として改めてその名を轟かせたトランセンド。次なる舞台は来年のフェブラリーS(G1)と発表された。その先には海外の大一番を見据える。福田さんは、「これからも良い状態でいてくれることを願うばかりです。また私たちに夢を見させて欲しいですね。」と、胸を膨らませる。更なる高みへ、トランセンドを支える人たち、そして、競馬ファンの鼓動は一緒になってその音を大きくしている。