2011年05月08日 新潟大賞典 G3
優勝馬:セイクリッドバレー
プロフィール
- 生年月日
- 2006年04月29日 05歳
- 性別/毛色
- 牡/栗毛
- 戦績
- 国内:26戦4勝
- 総収得賞金
- 251,202,000円
- 馬主
- 吉田 勝己
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 高橋 裕
- 騎手
- 丸山 元気
鞍上を務めた丸山元気騎手、そしてセイクリッドバレーにとっても初めての重賞制覇となった今年の新潟大賞典(G3)。ノーザンファーム空港牧場から馬運車に乗り込む姿を見送った大木誠司厩舎長にとっても、待ちに待った重賞タイトルとなった。
「新潟コースは得意としている馬でしたし、なんとかならないかなあと思いながらレースを見ていました。道中は前に馬を置きながら折り合いも付いていましたし、流れも向いていたので、これなら直線でいい脚を使ってこられると期待が膨らみました」(大木厩舎長)
大木厩舎長の脳裏には、これまでセイクリッドバレーが挑んできた数々のレースが浮かんでいた。デビュー戦や関屋記念(G3)での2着が示しているようにマイル適正の高さを示したこともあれば、小回りに上手く対応できたセントライト記念(Jpn2)では、ナカヤマフェスタの2着に入着したこともあった。かと思えば長い直線で脚を伸ばした2010年新潟大賞典(G3)でも2着。いったい、どの条件が合っているのだろうと考えることもしばしばあった。
「タニノギムレットの産駒にはいい脚を使いながらも、不器用な一面を持ち合わせているがために取りこぼしも多いのですが、育成時のセイクリッドバレーも似たような印象がありました。ただ、気が良すぎると思えるほどに真面目で、しかも元気も良かったからこそ、マイルでも対応できたのではないのでしょうか」(大木厩舎長)
ゴール前では首の上げ下げとなったが、持って生まれた前向きな気性がクビ差だけ早くゴール板に届いていた。悲願の重賞制覇の瞬間には嬉しさだけでなく、山元トレーニングセンタースタッフや厩舎スタッフに対する感謝の心もわき上がってきたという。
「デビューしてからは厩舎と山元トレセンで調整を続けられてきました。元気すぎる馬だけに調教も苦労していたと思いますし、昨年の関屋記念(G3)の後は調子を崩していたようにも見えたので、向こうのスタッフの皆さんのケアやその後の立て直しがあったからこそ、このタイトルを掴めたのだと思います」(大木厩舎長)
実はこのレースで2着に入ったマッハヴェロシティもノーザンファーム空港牧場の育成馬。大木さん自身にも先週の青葉賞(G2)で勝利をおさめたウインバリアシオンの件ではお話を聞かせてもらっているだけでなく、同じ週にNHKマイルカップ(G1)を優勝したグランプリボスや、皐月賞馬のオルフェーヴルなど、今、日本で最も勢いのある育成牧場といっても過言ではない。
「空港牧場全体がいい雰囲気の中で仕事ができています。今週のヴィクトリアマイル(G1)でも人気になりそうなアパパネを始めとして、育成馬も出走を予定していますし、この勢いのままで重賞を沸かす馬を送り出していきたいですね」(大木厩舎長)
29日の日本ダービー(G1)には、自らの厩舎から送り出したウインバリアシオンとサダムパテックが出走予定。オルフェーヴルを初めとして牧場内にもライバルは多いが、この勢いのままなら上位独占だけでなく、その中でも最も勢いのある厩舎長である大木さんには、育成馬では初めてのクラシック制覇という歓喜の声も聞かせてもらえそうだ。