2011年04月24日 皐月賞 G1
優勝馬:オルフェーヴル
プロフィール
- 生年月日
- 2008年05月14日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/栗毛
- 戦績
- 国内:7戦3勝
- 総収得賞金
- 1,344,084,000円
- 馬主
- (有) サンデーレーシング
- 生産者
- (有)社台コーポレーション白老ファーム (白老)
- 調教師
- 池江 泰寿
- 騎手
- 池添 謙一
ゼンノロブロイでも、ステイゴールドでも、ドリームジャーニーでもこじ開けられなかったクラシックへの扉を、ついにオルフェーヴルが開き放った。
白老ファームの前身である社台ファーム白老時代には、コウユウ(桜花賞)、ダイナカール(オークス)、ダイナコスモス(皐月賞(G1))がクラシックレースを勝利しているものの、白老ファームとなってからはゼンノロブロイが日本ダービー(G1)で2着、そしてドリームパスポートが皐月賞(G1)、菊花賞(G1)で2着と、あと一歩でクラシックには届かないでいた。
「クラシックを勝つことの難しさを、何度も味わってきました。クラシックレースに出走させることすら難しいのに、どうやったら勝てる馬を送り出せるのだろうかと、クラシックレースの度に考えてきました」そう話す白老ファームの橋本裕充場長は、皐月賞(G1)が行われた日、東京競馬場で生産馬の応援に出かけていた。この皐月賞(G1)で白老ファームの生産馬は3頭(オルフェーヴル、サダムパテック、フェイトフルウォー)出走していたが、その3頭全てが重賞を勝利しての出走となった。
「この3歳世代の活躍には胸を張れると思います。でも、この世代だけ特別なことを行ってきたわけでなく、健康に充分な運動量が取れる放牧地で、スタッフが愛情を持って接してくれた結果が出たのかなとも思ってます」(橋本場長)
パドックでのオルフェーヴルは前走より馬体を減らしていたものの、毛艶や動きなどから状態の良さは見て取れた。サダムパテックも、フェイトフルウォーも完璧に近い状態で姿を見せた時、橋本場長は改めてこの場所に生産馬を連れてきてくれた関係者に感謝の気持ちを持ったという。
1番人気の支持を集めたのは弥生賞(G2)を制したサダムパテック。オルフェーヴルもスプリングS(G2)を制しての出走となったが、人気は4番人気に落ち着いていた。「オルフェーヴルはコースと展開が合えば勝機はあると見込んでいました。それだけに直線で抜け出してきたときには力が入りました」(橋本場長)
先に抜け出したオルフェーヴルに追いすがってきたのは、白老ファームの放牧地でも追いかけっこをしたであろうサダムパテックだった。白老ファームにとって初めてのクラシックタイトルは、生産馬のワンツーフィニッシュという、牧場の地力を証明した結果ともなった。
「これまでにもジャパンカップ(G1)や有馬記念(G1)など生産馬が勝利する姿を見せてもらいましたが、今回の皐月賞(G1)ではそれとは違った感動がわき上がってきました」(橋本場長)
感動の余韻に浸る間もないまま、その日の内に牧場に戻った橋本場長を牧場のスタッフは歓喜で出迎えたが、その次の日にはいつもと変わらなく仕事に邁進する姿が見受けられた。
「これだけのスタッフだからこそ、馬も結果で答えてくれたのでしょう。馬のことを第一に考えて、しっかりと仕事をこなしてくれますし、信頼のおけるスタッフたちと仕事ができていると改めて実感しました」(橋本場長)
クラシック二冠を目指すオルフェーヴルを筆頭に、白老ファームの生産馬3頭が、次に目指すのは日本ダービー(G1)。勿論、生産馬の優勝ははじめてとなるレースであり、トライアル遺憾では、この3本の矢に更に力強い援軍が加わることともなる。
だが、皐月賞(G1)と日本ダービー(G1)が同じコースで行われることを考えると、完勝と呼ぶに相応しいレース内容を見せたオルフェーヴルにかなりのアドバンテージがあるのは事実。いずれにせよ、日本ダービーに最も近い生産牧場は、1994年の創業からついにクラシックホースを送り出した、白老ファームであることは間違いない。