重賞ウィナーレポート

2011年04月03日 ダービー卿ChT G3

2011年04月03日 阪神競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ブリッツェン

プロフィール

生年月日
2006年03月04日 05歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:24戦6勝
総収得賞金
176,023,000円
スペシャルウィーク
母 (母父)
レディストロベリー(IRE)  by  Caerleon(USA)
馬主
広尾レース (株)
生産者
坂東牧場 (平取)
調教師
二ノ宮 敬宇
騎手
柴田 善臣
  • 喜びの声を語ってくれた坂東牧場の荒木一仁さん
    喜びの声を語ってくれた坂東牧場の荒木一仁さん

 4頭がずらりと並んだゴール前。写真判定の結果、1着~4着までハナ、クビ、ハナ差の大接戦を制したのは、平取町・坂東牧場生産のブリッツェンだった。

 単勝オッズは20.8倍の8番人気。前走の武庫川S(1600万下)を勝っていたとはいえ、昇級初戦で重賞初挑戦なら妥当な支持だったかもしれない。それでも、荒木一仁さん(坂東牧場)は「今の阪神は前残り傾向にある。内枠を引いたし、良いところはありそうだ」と楽しみにしていた。

 荒木さんの密かな期待は、ゲートを出た瞬間に「おや、これは」と膨らんだ。好スタートを決めたブリッツェンは、迷うことなくハナを主張してレースを引っ張る。勝った前走時とよく似た展開。ただし、今回は後ろに控えているのが重賞で実績を残してきた強者ばかり。4コーナーでは「さすがに捕まるかな」(荒木さん)と少し弱気になったが、絶妙なペース配分に導かれたブリッツェンには、余力が十分に残っていた。「あそこから二枚腰、三枚腰を使いましたからね。展開が向いた面もあるとは思いますけど、あれで押し切るのだから地力を付けていると思います」。

 実は荒木さんにとってのブリッツェンの記憶は、2006年まで遡る。ブリッツェンは離乳とほぼ同時に他の牧場に移動したため、共に過ごした時間は短いが、当時のことは鮮明に覚えているという。

 「あの子は僕が(坂東牧場に)入った年に生まれたんです。その頃から相当にバネがあったのでしょうね。しっかり蹴られました(笑)」。たとえ関わった期間が短くても、荒木さんの脳裏には、蹴られた痛みと「良い馬だった」という確かな記憶が刻まれている。

 牧場を移動後、荒木さんが再びレディストロベリーの06(ブリッツェン)を目にしたのは、08年7月のデビュー戦だった。当時から素質を評価されていたものの、初戦は4番人気4着。3歳秋以降は1000万下~1600万下を行き来して、OP入りを果たすまでに23戦を要した。まさに一歩一歩。キャリアを積みながら、クラスの壁をひとつひとつ乗り越えてきた。

 「ここまで着実に成長してくれました。次走予定はわかりませんが、もし安田記念(G1)に出るなら、ビービーガルダンと一緒に走るところを見たいですね。生産馬2頭がG1の舞台に立つというのは大変なことだと思いますし、2頭の名前が載った馬柱を見てみたいです」。

 着実な歩みで、またひとつ上のステージへ。ここまで来たらマイル戦線のてっぺんを目指して突き進むのみだ。