東北関東大震災被災地支援競馬として行われた中京記念(G3)。地震の影響による小倉競馬場への度重なる輸送や、調整過程の変更などをはね除けて優勝を果たしたのは、2番人気に支持されたナリタクリスタルだった。

　「強い競馬を見せてくれました。前走(小倉大賞典(G3))は敗れたといっても過去に小倉では勝ち鞍も残していますし、条件や流れも合っていたのでしょう」と白老ファームの橋本裕充場長。ただ、「複雑な思いもします」という正直な気持ちも明かしてくれた。

　東北関東大震災で発生した津波は、白老ファームのある北海道の太平洋岸にも大津波警報が発令された。牧場でも人馬が避難し、幸いなことに被害には至らなかったものの、その後、震災地の映像を見る度に誰もが言葉を失ったという。

　「人馬共に無事ではありましたが、両親や親類が被災に遭ったスタッフもいます。それでもナリタクリスタルが関係者や武豊騎手の力添えもあって重賞を勝ってくれたことは、前向きな気持ちをもたらしてくれました」(橋本場長)

　開催延期こそ挟んではいるが、これで白老ファームは3週連続での重賞制覇(阪急杯(G3)…サンカルロ、弥生賞(G2)…サダムパテック)。今週の高松宮記念(G1)でもサンカルロが初G1制覇と、白老ファームの4週連続での重賞制覇をかけて出走する。

　「世代や条件を問わず、重賞という舞台で生産馬が活躍してくれることに感謝するだけです。今週もサンカルロを初め、多くの生産馬たちが出走することになりますが結果だけでなく、次に繋がる競馬を見せてくれればと思います」(橋本場長)