重賞ウィナーレポート

2011年02月12日 クイーンC G3

2011年02月12日 東京競馬場 小雨 稍重 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ホエールキャプチャ

プロフィール

生年月日
2008年02月24日 03歳
性別/毛色
牝/芦毛
戦績
国内:6戦3勝
総収得賞金
532,316,000円
クロフネ(USA)
母 (母父)
グローバルピース  by  サンデーサイレンス(USA)
馬主
嶋田 賢
生産者
千代田牧場 (静内)
調教師
田中 清隆
騎手
池添 謙一

 桜花賞(G1)を目指す馬たちによる「第46回クイーンカップ(G3)」は新ひだか町の千代田牧場が生産した2番人気ホエールキャプチャ(牝3、美浦・田中清隆厩舎)が中団追走から、力強く脚を伸ばして1分35秒4で優勝。自身初となる重賞勝ちで桜花賞(G1)へ向けて大きく前進した。

 「不利などもあって、ここ2戦は惜しい競馬が続いていましたので溜飲が下がる思いです。オーナーに初めての重賞を贈れたことが嬉しいです」と同牧場の飯田正剛社長が笑顔を広げた。

 同馬は、父クロフネ、母グローバルピース(母の父サンデーサイレンス)。1908年に英国から輸入されたビューチフルドリーマーを祖とする名門ファミリーだ。「ホエールキャプチャの6代母にあたるワールドハヤブサを導入したのが最初です。当時、パーソロンを受胎していたワールドハヤブサが流産しそうになったとき、父親(故・飯田正氏)が懸命の治療をして助けた、それがこの馬の5代母になるミスオーハヤブサです。残念ながら競走馬としては未出走に終わりましたが、素晴らしい仔をたくさん生んでくれた」と千代田牧場の飯田正剛社長は40年近く前の出来事を、まるで昨日のことのように語ってくれた。

 そのミスオーハヤブサの初仔がチヨダマサコ。そしてエリザベス女王杯(G1)でマックスビューティの三冠を阻止したタレンティドガールへと続いていく。

 大きな転機となったのは、1991年。牧場の至宝とも言うべきタレンティドガールとブレイブウーマン、リーディングロウルの3頭を英国に連れて行って世界レベルの種牡馬を配合することを試みた。そうした試行錯誤の中から95年のクリスタルC(G3)優勝馬コクトジュリアン(父マキアヴェリアン)が出て、本馬の祖母エミネントガール(父ナシュワン)が生まれている。

 「ホエールキャプチャは、牧場の育成時代から目立った1頭でした。実は、この3歳世代は爪に悩まされた世代でもあるのですが、それを乗り越えて結果を出していることは自信になります」とちょっとだけ誇らしげな表情になった。「強い馬づくりに近道はないと考えています。牧場スタッフひとりひとりが自分のやるべきことを責任をもってやり続けること。そして、千葉牧場と静内牧場とトレセンの連携を密にして意思の疎通をしっかりと行なうこと。どこも手は抜けないし、少しでも手を抜いたらすべてがダメになる」という。そうしたエッセンスが詰め込まれた千代田牧場の馬たちは2010年度、JRA53勝。これは勝利回数部門で第4位となっている。

 そして2011年は2月終了時点で12勝と、例年をうわまわるペースで実績を積み重ねている。「まだまだ納得はしていません。さらに上を目指したい」と意気込んでいる。