2011年02月06日 きさらぎ賞 G3
優勝馬:トーセンラー
プロフィール
- 生年月日
- 2008年04月21日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/黒鹿毛
- 戦績
- 国内:4戦2勝
- 総収得賞金
- 460,976,000円
- 母 (母父)
- プリンセスオリビア(USA) by Lycius(USA)
- 馬主
- 島川 隆哉
- 生産者
- 社台ファーム (千歳)
- 調教師
- 藤原 英昭
- 騎手
- M.デムーロ
最後の直線に入ったとき、先頭をひた走る馬との差は約10馬身。追い込んできたトーセンラーにとっては絶望的な差にも見えたが、そこから父ディープインパクトを彷彿とさせるような末脚を発揮する。
「正直、直線に入ったときは万事休すかと思いましたが、逆に最大の見せ場にしてしまうのですから、人馬ともに大したタマですね。唸らされました」と育成を手がけた社台ファームの東礼治郎調教主任も、その末脚には舌を巻く。
幼少時から小柄ながら活気に満ちて動きが良いと評判だったトーセンラーであるが、見た目や歩いている姿には決して目立ってはいなかった。だが、調教でその評価は一変する。四肢を大きく伸ばして走る姿は、集団調教でもひときわ目立つ存在となった。
牧場にいた頃から自己主張が強く、函館競馬場に入厩した際には担当者を手こずらせてしまったことで、直接、栗東に移動せずに山元トレーニングセンターで心身ともに再教育されたという意外なエピソードも、東さんは笑いながら話してくれたが、でも、「あんな素晴らしい脚が使えるかどうかなんて、牧場で行っているキャンター程度では分からないからね」と表情を引き締める。
「だからこそ地道に鍛練を重ね、きちんとした状態でトレーナーの元に送り、無事に出走させることが一番大事となってくると思う、というかそれしかない、と思っている。日々、積み重ねること、そして続けること。馬を育てるということはそれしかないんだよ。」
これで4戦2勝3着2回。3着に敗れたエリカ賞以外は、全て勝ち馬とのタイム差が無いという安定したレースを見せている。今回のきさらぎ賞(G3)もまた2着馬とのタイム差は無かったものの、その着差以上に強いレースを見せてくれた。
「あの差を逆転できるかどうかは、血統や育成調教、トレセンでの調教がどうのこうのではなく、この馬が「それだけのものを持っているか」であるかどうかにかかってくると思う。今で言えば、この馬は「持ってる」馬であることが証明されたわけだし、あとはとにかく無事に進んで行ってもらいたいね」と東調教主任。
ただ、クラシックが楽しみになりますね、と話を向けると、「そう思わせるだけの末脚は見せてくれたかな」と笑顔を見せてくれた。