重賞ウィナーレポート

2011年01月09日 シンザン記念 G3

2011年01月09日 京都競馬場 曇 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:レッドデイヴィス

プロフィール

生年月日
2008年02月22日 03歳
性別/毛色
せん/鹿毛
戦績
国内:6戦2勝
総収得賞金
169,717,000円
アグネスタキオン
母 (母父)
ディクシージャズ  by  トニービン(IRE)
馬主
(株) 東京ホースレーシング
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
音無 秀孝
騎手
浜中 俊

 今年で45回を数えるシンザン記念(G3)に、新たな記録が刻み込まれた。

 7番人気で出走したレッドデイヴィスが、1000m通過58秒8の速い流れを前について行きながら直線で力強く抜けだすと、追い込んできた後続馬も振り切って優勝。67年から始まったシンザン記念の歴史で、レッドデイヴィスがセン馬としては初の優勝馬となった。

 「確かにセン馬初の勝利となりましたが、そもそもセン馬がそれほど出走していなかったレースですからね」と冷静に分析してくれたのは、ノーザンファーム事務局の中尾義信さん。確かに昨年の競馬におけるセン馬の平地中央重賞勝ち馬は、京都金杯(G3)を勝ったライブコンサート、CBC賞(G3)を勝ったヘッドライナーの2頭。また障害でもギルティストライクが東京ジャンプS(JG3)を勝っただけど、ここまで頭数が少ないのは、単純にセン馬の重賞出走が少ないからとも言える。

 だが、気性難などを解消するためにセン馬となるのは、そのほとんどがレースを経験してからのこと。レッドデイヴィスのようにデビュー前にセン馬となった馬はあまり見あたらない。

 「こちらの調教では特にやんちゃな面を見せていたというわけではありませんでした。ただ、入厩してからデビューに向けての調教の中で、気性面に難しいところを見せてきたのでしょうし、音無調教師やオーナーである東京ホースレーシングとの話し合いの中で導きされた結論だと思います。ただ、この重賞勝利という結果を見ても、セン馬となったことがいい方向に出たと思いますね」(中尾さん)

 今年のシンザン記念には、牡馬、牝馬共に今年のクラシック戦線を沸かせていそうなメンバーが出走。その中でレッドデイヴィスの注目度が下がるのは致し方ない気もするが、前走は10着に敗れたとはいえ、それは進路妨害による降着によるものであり、先頭でゴール板を駆け抜けたのは紛れもない事実であった。

 「前回のレースは他の馬の進路を邪魔してしまったとはいえ、ゴール前の脚は見るべきものがありました。先行力がこの馬の武器だと思いますし、今回も同じようなレースができれば面白いのではないかと思いました」(中尾さん)

 血統的にもアグネスタキオンを父に持ち、近親には菊花賞(G1)とメルボルンカップ(G1)の優勝馬デルタブルースがいる良血馬。今回はマイルでの重賞制覇となったが、先行できる脚と血統背景からすれば、まだ距離の幅が広がっても好走が期待できそうでもある。

 「今後のレースは様々な選択肢が出てくるかと思いますが、そこでどんな競馬を見せてくれるかが楽しみです。また、血統やここに来てのレース内容からしても、成長しているのは明らかですし、3歳だけでなく、古馬となってからも息長く競馬を見せてくれるのではないのでしょうか」(中尾さん)

 今の日本ではクラシックを含め、まだセン馬の出走できないG1レースもある。ただ、その限られた条件の中でジャパンカップ(G1)を制したレガシーワールドやマーベラスクラウン、そしてマイルCS(G1)を優勝したトウカイポイントがG1のタイトルを手にした。日本だけでなく海外を見渡しても、セン馬となった馬は、その後、息長く活躍する例が多い。ここはレッドデイヴィスにも、重賞レースを沸かせてもらいながら、久しぶりのセン馬によるG1制覇という偉業を見せてもらおう。