重賞ウィナーレポート

2010年12月11日 中日新聞杯 G3

2010年12月11日 小倉競馬場 曇 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:トゥザグローリー

プロフィール

生年月日
2007年02月16日 03歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:9戦4勝
総収得賞金
464,784,000円
馬主
(有) キャロットファーム
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
池江 泰郎
騎手
M.デムーロ

 良血牝馬の産駒が重賞初制覇。その上、古馬を相手に3歳馬が上位を独占し、しかもノーザンファームの生産馬という構図は、先週に行われた鳴尾記念(G3)(優勝馬はルーラーシップ(牡3、父キングカメハメハ、母エアグルーヴ)とも一緒となる。

 父内国産馬限定から混合競走に、そして国際競走ともなった中日新聞杯(G3)。中京競馬場の改修工事により、今年は小倉競馬場で行われた伝統の重賞を勝利したのは、エリザベス女王杯馬トゥザヴィクトリーを母に持つ、トゥザグローリーだった。

 「トゥザヴィクトリーの産駒は体格に恵まれている馬も多い一方で、それがウィークポイントにもなりがちでした。しかし、多くの産駒に接してきたことで、生産、育成と我々も様々な工夫を持って競馬場まで送り出せたことが、重賞勝利という嬉しい結果に繋がったのではと思います」(ノーザンファーム事務局・中尾義信氏)

 エリザベス女王杯(G1)を制しただけでなく、ドバイの地でも世界の強豪を相手に、2着となった名牝トゥザヴィクトリー。だが、繁殖牝馬となってからは、決して母を彷彿とさせるような産駒を送り出しているとは言えなかった。

 その中でトゥザグローリーは、現役時の母を思い出させるような活躍を残したと言えるだろう。3歳時にメイクデビュー、500万下と連勝し、青葉賞(G2)で2着に入り、日本ダービー(G1)にも出走。ラジオNIKKEI賞(G3)を使った後にはノーザンファーム早来牧場で調整され、10月のオープンアイルランドTで復帰。オープンのカシオペアSを優勝して臨んだマイルチャンピオンシップ(G1)では、歴戦の雄を相手に4番人気の評価を受けた。

 既に古馬を相手に勝利は飾っているとはいえ、重賞馬が揃った中日新聞杯(G3)はトゥザグローリーにとって試金石のレースとも言えた。しかし、一番人気の評価を更に糧とするように堂々たるレースを見せ、直線では後続との差を広げていく。勝利の後、陣営からは有馬記念(G1)への出走を表明する声も聞かれた。

 「中日新聞杯(G3)も古馬や勢いのある3歳世代を相手にいいレースを見せてくれましたが、有馬記念(G1)となると更に強いメンバーが揃うので、力試し的なレースになるかと思います。それでも今の勢いでどんな結果を残してくれるのか楽しみであることは間違いありません」(中尾氏)

 現時点において、ノーザンファームからはジャパンカップ(G1)の1着2着馬のローズキングダムとブエナビスタ、菊花賞馬オウケンブルースリだけでなく、鳴尾記念(G3)を勝ったルーラーシップも出走を表明。実績だけなら前記のG1ホース3頭に劣るかもしれないが、同じ3歳馬のルーラーシップと共に、勢いでは決してひけを取らない。

 「有馬記念(G1)はファンの皆さんも、出走馬に対して色々な思いをお持ちになりながら応援されるのでしょうが、自分としても様々な視点を持って見られる楽しみなレースになりそうです」と笑う中尾さん。

 実績上位馬が今年のフィナーレを飾るのか、もしくは勢いのある3歳馬が来年の競馬に繋がるような結果を残すのか。いずれにせよ、主役となるのはノーザンファームの生産馬となりそうだ。