重賞ウィナーレポート

2010年11月27日 京阪杯 G3

2010年11月27日 京都競馬場 晴 良 芝 1200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:スプリングソング

プロフィール

生年月日
2005年02月27日 05歳
性別/毛色
牡/青鹿毛
戦績
国内:13戦6勝
総収得賞金
167,749,000円
サクラバクシンオー
母 (母父)
スプリングチケット  by  トニービン(IRE)
馬主
吉田 照哉
生産者
社台ファーム (千歳)
調教師
鶴留 明雄
騎手
池添 謙一

 1年7か月ぶりの休養を挟んでの前走を勝利し、2番人気の評価で迎えられた京阪杯(G3)。休み明けより22㎏増えていた馬体は-10㎏となっていたが、それでもスプリングソングの充実した馬体に、この休養は無駄では無かったと思わされる節はあった。

 「再び競馬場で走る姿を見たいと思っていましたので、再び重賞の舞台に進められたことは、自分たちにとっても励みになりました」と社台ファーム事務局の青田力也さんは、感慨深げにレースを振り返る。

 09年の高松宮記念(G1)の後、屈腱炎を発症。社台ホースクリニックでの幹細胞移植手術を経て、社台ファームへと戻ってきた。「牧場では乗り運動を行わない期間がしばらくありました。元気の有り余っていた姿を見ていたので、良くなってくれという思いと、我慢してくれという思いがありました」(青田さん)

 我慢したのはスプリングソングだけではなかった。屈腱炎は再発を伴う病気でもある。3歳時に3連勝してオープン入り。その後も重賞で好走を見せていただけ、脚元さえ無事なら、重賞タイトルを得るまでそれほど時間は要しなかったに違いない。しかし、関係者全てに共通していたのは、「焦らないでまずは脚元を再びレースのできる状態にする」という思いだった。

 これで7度目の挑戦となる重賞レース。セントウルS(G3)、そして2年前の京阪杯(G3)で3着と重賞の壁を乗り越えないでいたが、この休養はスプリングソングにその壁を易々と乗り越えさせるほどの成長力ももたらしていた。

 ゲートが開くと先行したスプリングソングは、混戦となった直線の中を、これまでの我慢した気持ちを振り絞るかのように必死に前に出ようとする。熾烈な争いをハナ差だけ制した向こうにあったのが、待ちに待った重賞タイトルだった。

 「ゴール前ではやはり重賞の壁はあったのではと感じさせられましたが、それでもハナ差だけ凌ぎきってくれたのを確認した時には、改めて頭が下がる思いがしました。それと同時に、これまでお世話になってきた厩舎を初めとする関係者の皆さんや、そして復帰を待ってくれたオーナーに改めて感謝したい気持ちになりました」(青田さん)

 我慢の向こうにあった重賞制覇という栄光。だが、スプリングソングの競走馬としての前途は、まだその先にある。

 「休養前より力を付けているのは間違いないと思いますし、好メンバーが揃った重賞で結果を残してくれたことで、来年以降の活躍も楽しみになってきます。昨年は破れた高松宮記念(G1)がこれからの目標になってくると思いますが、まずは無事に走って、そしていい結果を残してほしいですね」(青田さん)