重賞ウィナーレポート

2010年10月31日 天皇賞(秋) G1

2010年10月31日 東京競馬場 曇 稍重 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ブエナビスタ

プロフィール

生年月日
2006年03月14日 04歳
性別/毛色
牝/黒鹿毛
戦績
国内:14戦8勝
総収得賞金
1,386,433,000円
スペシャルウィーク
母 (母父)
ビワハイジ  by  Caerleon(USA)
馬主
(有) サンデーレーシング
生産者
ノーザンファーム (早来)
調教師
松田 博資
騎手
C.スミヨン

  一番人気の不振、長い歴史で13頭しか勝っていない牝馬、休み明けでのG1出走、そして前日の大雨の影響から渋った馬場など、データや事象的にはブエナビスタの天皇賞・秋(G1)制覇を阻む障壁は幾つもあった。

  しかし、今、レース結果を振り返ってみると、全ての障壁やネガティブな想像は、まったく関係のないことだったと言わざるを得ない。

  「追い切りなどを見ても、春先よりコンディションがいいことは証明されていましたし、ブエナビスタの競馬ができるなら結果は出てくると思っていました」とはノーザンファーム事務局の中尾義信さん。中尾さんはマスコミが見つけてくる幾多のマイナス要素よりも、ブエナビスタがこの東京コースを得意としていることなどのプラス要素を前向きに捕らえていた。

  「G1だけでもオークス、ヴィクトリアマイルと2度勝利しているコースですし、メンバー的にも互角以上の勝負ができると思っていました。ただ、まだ戦ったことのない3歳馬の存在が気になっていましたね」(中尾さん)

  中尾さんの予想は的中する。ブエナビスタは直線で抜け出すと、そのままセーフティリードを保ったままゴール。2着には3歳のペルーサが入着した。

  「やはりトップクラスの馬が出走してくれば、性別は関係ないのかもしれません。一番人気に支持されたことや、レース内容など、誰もが納得する結果を残してくれたと思います」(中尾さん)

  宝塚記念以来、4ヶ月ぶりの出走となったブエナビスタだが、そのほとんどをノーザンファーム早来牧場で調整されてきた。 

  「牧場、厩舎での管理共に牧場スタッフ、厩舎スタッフ共によく把握している馬ですし、牧場での調整でも苦労はありませんでした」(中尾さん)

  管理をする松田博資調教師からは、天皇賞・秋の追い切りの後で、「獲れるところは全部獲って、年度代表馬を狙いたい」との言葉も聞かれていた。天皇賞・秋を完勝した今、その言葉も現実になりそうな気もしてくる。

  「実際にドラマのように現実が運ぶかどうかは分かりませんが、それでも、この後のG1レースでも結果を残してくれたり、また、これから叶うであろうアパパネの対決など、ファンの方も楽しみにしていてくれるのではないのでしょうか」(中尾さん)

  主役不在と言われて久しい競馬だが、3歳牝馬からは三冠王者アパパネ、そして古馬からは牡馬、牝馬の垣根を飛び越えて、ブエナビスタが秋競馬の主役に躍り出た。いずれ、どこかで向かい合う2頭のヒロイン。その時、競馬の盛り上がりは最高潮を示していることだろう。