2010年10月02日 札幌2歳S G3
優勝馬:オールアズワン
プロフィール
- 生年月日
- 2008年03月06日 02歳
- 性別/毛色
- 牡/黒鹿毛
- 戦績
- 国内:3戦2勝
- 総収得賞金
- 109,166,000円
- 馬主
- 宮川 純造
- 生産者
- オリエント牧場 (新冠)
- 調教師
- 領家 政蔵
- 騎手
- 安藤 勝己
第45回札幌2歳S (G3)は、先行策から早めに抜け出たオールアズワンがアヴェンチュラ、アドマイヤセプター、ルルーシュらの追い上げを退けて優勝。通算成績を3戦2勝として来年のクラシックへと弾みをつけた。同馬を生産した新冠町のオリエント牧場は平成15年のトーホウシデン(中山金杯(G3))以来、7年ぶりの重賞制覇。父のネオユニヴァースは今春の皐月賞(G1)(ヴィクトワールピサ)以来の重賞勝ちで中央通算11勝目。2008年の札幌2歳S(Jpn3)を勝ったロジユニヴァースに続いて2頭目の勝利となった。
オリエント牧場は、新冠町のサラブレッド銀座から少し山間に入ったところにある。もともとは畑作をしていたそうだが、昭和44年ころから現代表の中川信幸さん(61)がスタートし、昭和49年に法人化された。約19ヘクタールの土地に繁殖牝馬は19頭。生産と、中期育成を行なっている中規模の牧場だ。信幸さんと妻の陽子さん。それに譲さん(35)の家族とスタッフ数名で馬の世話をしている。
「札幌競馬場の重賞競走に出走できるなんて滅多にあることではないので、今回は家族で応援に行きました」と中川譲さんが白い歯を見せた。そんな中川さん一家が声援を送る中で、積極的なレースをした愛馬は、追いすがる人気上位馬を尻目に、見事に先頭ゴールインを果たした。「先頭にたってからが長かったね。でも、長くお付き合いいただいている馬主の宮川純造さん、そして領家調教師に少しでも恩返しが出来て嬉しいです」と笑顔でレースを振り返ってくれた。
「母のトウホープログレスがオールアズワンを受胎状態でオリエント牧場にやってきたんです。母親は少し詰まったようなところがあってナリタブライアンの体型でしたが、生まれた仔は体全体にゆとりがあってずいぶんと柔らかい馬だなぁ、という印象でした。しっかりしてきたのは当歳の夜間放牧明けくらいだったと思います」という。そして、ひと夏を越して育成場に送り出す頃には手応えを感じさせる馬になっていた。
「牧場時代は気の強い馬でした。いつも放牧地を走りまわっていて、競馬向きの気性だね、なんて話していたのですが、まさか重賞競走に勝てるとは思いませんですしね」と嬉しい誤算に笑顔が絶えない。その後、1歳の秋に育成場に移動したが「たまに育成場へも顔を出していたのですが。見にいくたびに馬が良くなっていく印象を受けましたね。育成場の乗り役さんも、この馬には手応えを感じてくれているようでしたよ」という。
そんなオールアズワンが、オリエント牧場に7年ぶりに重賞をもたらしてくれた。「夢は、もう一度ダービーの舞台に生産馬を送り出すことです。あの舞台は生産者にとって夢ですから」という。かつての生産馬トーホウシデンはダービー(G1)4着のあと、菊花賞(G1)はエアシャカールとマッチレースの末にクビ差及ばない2着だった。「それでも、勝ちたいのはダービーです。あのレースは特別ですよ」と夢を語ってくれた。