重賞ウィナーレポート

2010年10月10日 毎日王冠 G2

2010年10月10日 東京競馬場 晴 稍重 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:アリゼオ

プロフィール

生年月日
2007年03月12日 03歳
性別/毛色
牡/黒鹿毛
戦績
国内:7戦4勝
総収得賞金
163,879,000円
シンボリクリスエス(USA)
母 (母父)
スクエアアウェイ  by  フジキセキ
馬主
(有) 社台レースホース
生産者
(有)社台コーポレーション白老ファーム (白老)
調教師
堀 宣行
騎手
福永 祐一

 毎日王冠(G2)が行われたその日、白老ファームの橋本裕充場長は、東京競馬場でアリゼオのレースを見ていた。 

 「ちょうど、クラブのパーティーがあって東京に行っていたのですが、その日は東京と阪神で新馬戦を含めて白老ファームの生産馬が3勝していて、アリゼオもいいレースをしてくれないかなと期待は持っていました」(橋本場長) 

 とはいっても、3歳馬は88年のオグリキャップ以来、古馬の牙城に阻まれていたのがこの毎日王冠(G2)。重賞勝ち(スプリングS(G2))の実績こそあるとはいえ、アリゼオの評価は6番人気でしかなかった。 

 しかし、アリゼオは橋本場長の目の前で、想像を上回るようなレースを見せる。スタートしてから中段で折り合いを付けると、最後の直線ではインコースに進路を取り、どんどんスピードを上げていく。ゴール前では前を行くエイシンアポロンとの叩き合いとなったが、ハナ差だけ前に出たところが、3歳馬としては22年ぶりの毎日王冠制覇となった。 

 「ゴールの瞬間はビックリしたというのが本当の気持ちです。でも、後で映像を見てみたらジョッキーも上手に競馬をさせてくれましたし、馬も頑張って伸びてくれた。距離、通ってきたコースなど、全てがアリゼオに向いたのでしょうし、何よりも一夏を越して馬が力を付けてくれたのでしょうね」(橋本場長) 

 初重賞制覇となったスプリングS(G2)の際にも触れたように、アリゼオの牝系は、社台グループが育ててきた名牝系の一つ、レディチャッターの系統。これまでにもアリゼオの近親となるワンモアチャッター(朝日チャレンジC(G3))や、インティライミ、プレミアムボックスなど、世代を問わず活躍馬を送り出している。 

 「決して目立った活躍馬を次々と送り出す牝系ではありませんが、シンボリクリスエスとの相性も良かったのでしょうし、母父に入ったフジキセキも、切れのあるスピードを上手く伝えてくれたのかもしれません」(橋本場長) 

 天皇賞(秋)(G1)、そしてジャパンカップ(G1)を連覇した自身とは異なって、種牡馬としてはダートを中心に活躍馬を送り出しているシンボリクリスエス。だが、芝の中距離でスピード能力の高さを示すアリゼオの活躍は、シンボリクリスエスが持つ種牡馬としての可能性を広げた感がある。 

 今後のローテーションはまだ未定とのことだが、古馬を打ち負かした能力からしても、天皇賞(秋)(G1)、そしてマイルCS(G1)のいずれに出ても好走が期待できそうだ。 

 「今回、応援に行かせてもらってこんな素晴らしい結果となったので、次にアリゼオが出走したときにも応援に行きたいですね」と笑う橋本場長。ちなみに3歳時に同じ毎日王冠(G2)を優勝したオグリキャップは、その後の天皇賞(秋)(G1)で2着。父が2度も歓喜を味わったこの舞台で、アリゼオはオグリキャップ越えと親子制覇を果たすかにも注目したい。