重賞ウィナーレポート

2010年09月12日 京成杯オータムH G3

2010年09月12日 中山競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ファイアーフロート

プロフィール

生年月日
2006年04月17日 04歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:12戦6勝
総収得賞金
144,488,000円
スペシャルウィーク
母 (母父)
バーニングウッド(USA)  by  タバスコキャット(USA)
馬主
臼田 浩義
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
小笠 倫弘
騎手
津村 明秀

  ファイアーフロートが京成杯オータムH(G3)で重賞初挑戦をしたその日、1歳の乗り慣らしからその背に跨ってきたノーザンファーム空港牧場育成スタッフの荒木薫さんは、厩舎の仲間と共に休憩室でレースを見守っていた。

  「その日はクラブのツアーがあったので、ファイアーフロートを知る厩舎のみんなと一緒にレースを見ることができました」(荒木さん)

  ファイアーフロートは荒木さんにとって思い出深い馬でもあった。背中の馴らしが終わって、厩舎の廊下で跨った時、ファイアーフロートは突然、狭い廊下を走り出しただけでなく、幾度となく尻っぱねを繰り返し、荒木さんは天井に叩きつけられそうになった。

  ファイアーフロートのやんちゃぶりは、ロンジングの際にも行われた。初めてロンギ場に入れたとき、ファイアーフロートは背中の荒木さんを落とそうと馬体を横に倒し、結果として荒木さんは二度もウッドチップの上に叩きつけられることとなった。

  「それでも調教では真面目に走るんですよね。心身に余裕がある時にやんちゃな面を見せるので、厩舎に行ってからも問題を起こさないようにと、様々な諸問題をクリアさせてから入厩させるように務めました」(荒木さん)

  その結果、入厩時期は2歳の9月まで伸びてしまったが、じっくりと乗り込んだことで、ファイアーフロートは充分な体力も備えていた。デビュー2戦目に初勝利をあげると、3歳の5月には500万も突破。このレースの後、ファイアーフロートと荒木さんは久しぶりの対面を果たしている。

  「3歳の6月に北海道シリーズを使う前に牧場に調整のために戻ってきました。その頃は競馬を使ってきた疲れもあったのか馬体重も減っていたので、まずは馬体を戻していい状態で競馬に使ってもらえるように心がけました」(荒木さん)

  やんちゃな気性は相変わらずでした、と荒木さんは笑うが、プラス体重でレースに臨んだファイアーフロートは、北海道シリーズで2戦1勝、2着1回の成績を残し、3歳の秋には1600万下を勝ってオープン入り。その後、ニューイヤーSで敗れた後は半年ほどの休養に入ったが、復帰戦となった長岡Sでの馬体を見て、荒木さんは充分に勝負になると見込んでいた。

  「ニューイヤーSの時よりも16㎏絞れていましたが、この馬の適正体重は480㎏ほどだと思っていたのでちょうどいいと見ていました。京成杯オータムHはその時から8㎏減らしていましたが、パドックで見た印象も長岡Sとそれほど変わりなかったですし、力は出し切れると見ていました」(荒木さん)

  2番手に付けたファイアーフロートは、ジョッキーの手を動かすことなく4コーナーを回っていく。追い出してからの手応えも良く、先頭に躍り出た瞬間、荒木さんはTVに向かって叫んでいた。

  これまでにも様々な重賞馬の背に乗ってきた荒木さんだが、乗り慣らしから重賞を勝利してくれたのは、このファイアーフロートが初めてだった。

  「まだ、馬体重の増減があるように競走馬としては完成していないのかもしれませんが、それだけに上積みが望めるのは楽しみです。今回はTV観戦となりましたが、もし、次に重賞やG1にも出ることがあったのなら、是非とも現地で応援をしたいですね」と荒木さんは喜びの声を弾ませた。