重賞ウィナーレポート

2010年08月15日 北九州記念 G3

2010年08月15日 小倉競馬場 晴 良 芝 1200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:メリッサ

プロフィール

生年月日
2004年04月01日 06歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:33戦6勝
総収得賞金
142,754,000円
ホワイトマズル(GB)
母 (母父)
ストーミーラン  by  トニービン(IRE)
馬主
岡田 牧雄
生産者
岡田スタツド (静内)
調教師
佐山 優
騎手
福永 祐一
  • 岡田スタッド看板
    岡田スタッド看板
  • メリッサの半妹(2008年生 父フレンチデピュティ(USA))
    メリッサの半妹(2008年生 父フレンチデピュティ(USA))
  • メリッサの半弟(2009年生 父 ロージズインメイ(USA))
    メリッサの半弟(2009年生 父 ロージズインメイ(USA))
  • メリッサの半弟(2009年生 父 ロージズインメイ(USA))
    メリッサの半弟(2009年生 父 ロージズインメイ(USA))

 前走、アイビスサマーダッシュ(G3)で1番人気に支持されながら18着に敗れたメリッサだが、その雪辱を果たすかのようにこの北九州記念(G3)を快勝した。 

 メリッサの生産牧場は、マツリダゴッホなどを送り出した岡田スタッド。メリッサのオーナーには牧場の代表を務める岡田牧雄さんの名前があるのだが、正式には岡田氏が代表を務めるLEXPROの所有馬。オーナーズクラブとしては10年以上の歴史があるが、近年では勝ち鞍、そして総賞金と飛躍的に数字を伸ばしている。 

 「この活躍を支えているのは、ノルマンディファームに見られる育成技術の向上や、また、充分な敷地が取れるようになったことで、昼夜放牧を軸とした丈夫な馬作りができたことも大きいと思います」と岡田氏。メリッサも調整の度にノルマンディファームへと戻ってきていたと言うが、その度に昼夜放牧を行って、鋭気を養った状態で厩舎へと戻していたとも教えてくれる。 

 そのメリッサだが、牝系を遡るとサンキストという名前を見つけられる。実はサンキストとは、岡田スタッドの前身である岡田蔚男牧場の代表者、故岡田蔚男氏が「かまど馬」として育ててきた牝系の祖でもあった。 

 「お盆に父のお墓参りへ行ってきたのですが、その時に『親父の育ってきたサンキストの血を引くメリッサが頑張っているよ』と話してきたばかりなんですよ。この牝系は気持ちの強い馬が多いのですが、メリッサにもその長所が出ていますね」(岡田氏)

  産まれた頃のメリッサは筋肉量が目を引く馬で、特にお尻の大きさが目立っていた。ノルマンディファームで育成されていた頃も動きの良さは目立っており、乗り手が持って行かれるほどの手応えで坂路を駆け上がっていた。期待とは裏腹に、未勝利を脱出したのは3歳の5月と時間を要したが、その後は順調にクラスを上げていき、5歳の7月にはついにオープン入りを果たす。しかし、その年に暮れには引退の話も持ち上がっていたという。

  「年齢のこともありましたし、牝系からしても牧場に戻したい馬と思っていました。それでもノルマンディファームに戻ってきた時の馬体を見たら張りもありましたし、覇気も感じられた。レックスのスタッフや息子からも現役を続行させた方がいいとの意見をもらい、それならと思ったのですが、こうした結果が出せたことは嬉しかったですね」(岡田氏) 

 時には一日36レース全ての馬券を購入するほどの競馬ファンでもある岡田氏は、前走のアイビスサマーダッシュ(G3)での結果を、「応援してもらった方に対して、後ろめたい気持ちもした」と苦笑いを浮かべる。それでも、メリッサの能力を信じてきたファンには、5番人気まで落ちたことでの単勝13.4倍はおいしい馬券となったに違いない。 

 今後、メリッサは、9月12日に阪神競馬場で行われるセントウルS(G2)への出走を予定。この後も芝短距離重賞戦線を沸かす存在となりそうだが、来年には引退して、繁殖入りも決まっている。

 「母のストーミーランも昨年の5月に亡くなって跡取りもいませんし、年齢的なこともありますからね。配合相手はマツリダゴッホを予定しています」と岡田氏。岡田スタッド配合馬となるメリッサとマツリダゴッホの配合馬にも期待が高まるが、その前にメリッサには、天国の蔚男氏に再び良い報告を届けてもらおう。