2010年06月27日 宝塚記念 G1
優勝馬:ナカヤマフェスタ
プロフィール
- 生年月日
- 2006年04月05日 04歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:10戦5勝
- 総収得賞金
- 293,243,000円
- 父
- ステイゴールド
- 母 (母父)
- ディアウィンク by タイトスポット(USA)
- 馬主
- 和泉 信一
- 生産者
- 新井牧場 (むかわ)
- 調教師
- 二ノ宮 敬宇
- 騎手
- 柴田 善臣
稍重の馬場状態で行われた第51回宝塚記念(G1)は、8番人気のナカヤマフェスタが直線、出走馬中上がり最速の脚で並みいるG1馬たちをまとめて差し切り、嬉しいGI初制覇を果たした。
ナカヤマフェスタを生産したのはむかわ町の新井牧場。新井誠さんと鈴美さん、夫婦ふたりで13頭の繁殖牝馬と当歳、1歳馬を管理しているため、牧場を空けることは難しく、競馬場へ足を運ぶ機会は少なかった。それでも当日は「G1だけは現地で応援したい」と、鈴美さんに留守を頼み、誠さんひとりで競馬場へ向かった。
「クラシックは三冠全て応援に行きました。勝てなかったけど、あの舞台に上がれるだけでもすごいことですから。今回は人気はないし相手は強い…掲示板に載ったらお祝いだねなんて家内と約束して家を出たんです」と、軽い気持ちで飛行機に乗った誠さんを待っていたのは、G1の表彰台だった。
「ゲート内で暴れて騎手が下馬した時はヒヤヒヤしましたが、道中いい位置に付けられたし、4コーナーで上がって来る姿を見て掲示板はあるな!と喜んでいたら直線で見失ってしまって…気がついたら先頭にいて、えっ!?という感じ。感激する余裕もなく、ただただ呆然。家に帰って現実に戻ると、あれは夢だったのかなと、未だに実感が沸かないんですよ」。
実は、誠さんが宝塚記念(G1)を観戦したのはこれで2回目。1回目は生産馬ゴーイングスズカが4着と健闘した98年だった。「その時勝ったのが同じオーナーのサイレンススズカだったので、表彰式も間近で見ていました。まさか自分が上がる日が来るなんて夢にも思わなかったから、G1ともなると表彰式もすごいなぁと感動したのを覚えています。今思えば何か縁があったのかも知れませんね」と12年後に生産馬が挙げた大金星を噛み締めていた。
夫婦ふたりで切り盛りしている牧場のスタンスは“馬なり”「集牧ひとつとっても、人の都合ではなく、馬に合わせて。時間は決めず、馬が帰りたくなって戻って来たら集牧するといった感じです。牧場としてはG1馬が1頭出ても他の馬たちが走らなかったらまぐれだと思われてしまいますから、今回の勝利は馬に恵まれた結果と素直に喜んで、今後もコンスタントに活躍馬を送り出すこと。そのためにまず、心身ともに丈夫な馬づくりを心がけています」と決意を新たにした。
G1馬となったナカヤマフェスタの次走には、海外遠征プランも持ち上がっている。「海外だったらいつも留守番してもらってる家内に行ってもらおうかな」と鈴美さんの表情を窺う誠さん。「こういうところで生まれ育った馬ですから、自然体で競走馬生活をまっとうして欲しい。それだけですね」と笑顔で締めくくった。