重賞ウィナーレポート

2010年04月17日 マイラーズC G2

2010年04月17日 阪神競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:リーチザクラウン

プロフィール

生年月日
2006年02月05日 04歳
性別/毛色
牡/青鹿毛
戦績
国内:13戦4勝
総収得賞金
257,836,000円
スペシャルウィーク
母 (母父)
クラウンピース  by  Seattle Slew(USA)
馬主
臼田 浩義
生産者
社台ファーム (千歳)
調教師
橋口 弘次郎
騎手
安藤 勝己
 誰もが、その卓越した能力を認めていた馬だった。

 「3歳のきさらぎ賞(G3)の後、敗戦を重ねてきましたが、デビュー前から持っていた、この馬に対する評価の高さは、スタッフの誰もが揺るぐことはありませんでした」と社台ファームの長浜卓也さん。

 一時はクラシック候補とも呼ばれていたリーチザクラウンだったが、2番人気に指示された皐月賞(Jpn1)では13着、日本ダービー(Jpn1)では2着と勝ち運に見放されてからは、勝ち方さえも忘れてしまったような走りを続けていく。

 「どんなレースがあっているのかという「きっかけ」探しの一つが、フェブラリーS(G1)への出走だったのかもしれません。でも、ここでも砂と屈辱にまみれてしまいました。性格的にお坊ちゃまな一面があり、敗戦が続くことで、心が萎えて走ることを辞めてしまわないかということが心配でした。でも、この馬はそんなにヤワではありませんでした」

 管理をする橋口調教師からは、いつも「状態良好」と聞いていたことも、必ず結果を出せるという気持ちに繋がった。あとは「きっかけ」だけだった。

 デビュー以来、2度目となる芝のマイル戦。勝ち鞍こそあるものの、マイルのG1馬も出走していたこのマイラーズC(G2)は、決して勝利の「きっかけ」作りにとって、向いている条件ではないように思えた。

 だが、持って生まれた高い能力と、幾多の敗戦で培ってきた精神力が、ついに爆発する。速い流れにもとまどうことなく前でレースを進めたリーチザクラウンは、最後の直線で早くも先頭に立つ。その姿は誰もがレースの度に想像していた、強いリーチザクラウンが現実となった姿だった。

 「これまで、好走する時はスマートなレースばかりでしたが、強豪と揉まれ続けたことで、今回のような力でねじ伏せる、芯の太さを身につけてくれましたのではないのでしょうか。エリート然とした優等生のイメージから脱し、本格化を感じさせた今回のレースは、自分たちだけでなく、多くの方を安心させる素晴らしい勝利だと思います」

 将来を嘱望されたエリートは、雑草となることで踏まれ、逞しさを手に入れた。混迷が続く芝短距離界であるが、そこにリーチザクラウンが入ってきたことで、一気に統治される可能性も出てきた印象もある。

 「その馬名の通り「戴冠」目指して頑張って欲しいですね」と長浜さん。幾多の敗戦から「きっかけ」を掴んだリーチザクラウンの未来にあるもの。それはG1タイトルだけだ。