重賞ウィナーレポート

2005年10月16日 府中牝馬S G3

2005年10月16日 東京競馬場 曇 稍重 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ヤマニンアラバスタ

プロフィール

生年月日
2001年03月30日 04歳
性別/毛色
牝/芦毛
戦績
国内:21戦5勝
総収得賞金
216,002,000円
ゴールデンフェザント(USA)
母 (母父)
ヤマニンリコール  by  タマモクロス
馬主
土井 肇
生産者
錦岡牧場 (新冠)
調教師
星野 忍
騎手
江田 照男
  • 土井睦秋社長と愛犬のロディ
    土井睦秋社長と愛犬のロディ
  • 紅葉の錦岡牧場本場
    紅葉の錦岡牧場本場
本馬のふるさと錦岡牧場は新冠町の奥手にあり、深まる秋に紅葉で包まれ、新潟記念(「過去の重賞ウイナーInformation」で掲載)に続く本馬の快挙に同牧場には華やいだ雰囲気が漂う。

今回の取材には、日頃忙しい土井睦秋社長が本場に居られ、話をお伺いすることができた。土井社長は笑顔を見せながら歯切れ良く喜びを語る。「長く引き継いできた馴染みのある馬だから嬉しいですね。前回(新潟記念)は牡馬相手とはいえ、斤量の軽さにも恵まれていました。このレースでは、3冠馬(スティルインラブ)や多くの重賞馬など一線級の牝馬が揃っていたので、どこまで通用するのかと思っていましたが、強い勝ち方をしましたね」と本馬を讃える言葉には、確かな手ごたえを掴んだ様子が。

本馬は3歳時には、クラシック戦線で惜敗(オークス3着、秋華賞5着)しながらも活躍してきたが、それまでは、牡馬とのレースが多く賞金の上積みが少なく、出したいレースに参戦出来なかったそうだ。土井社長は「あの頃、牡馬に揉まれたのが良かったのかもしれませんね。彼女は決してスーパーホースではありません。努力型の仔です。管理する厩舎の方も大変だったと思いますよ。今年は同条件で走っていますから、これからも楽しみです」と成長した本馬への期待は高い。いよいよエリザベス女王杯のリベンジに臨みGⅠ取りに挑戦だが「若くて強いの(エアメサイアなど)も来るから分かりませんよ。でも夢は春の天皇賞です」と楽しそうに語る。

幼駒の頃は、目立たず兄弟の戦績も芳しく無かったので期待をしていなかったという本馬には、この快挙に喜びも大きいが、オーナーブリーダーならではの挑戦もあったようだ。「彼女の父はゴールデンフェザントです。サンデーサイレンス全盛期に、あえて、捨てられない血統だと思い配合しました。マーケットブリーダーでは考えられないでしょ。(*売りを目的にした生産者は、売りやすい血統の配合を重視します) うちはスピードを重視して競走馬を作っていますが、タマモクロス(本馬の母ヤマニンリコールの肌に入る)とあわせたら、距離も保つ逞しい仔が出ると思いました」と振り返る。

二つの重賞制覇を成した本馬の33秒台の末脚は、ジャパンカップを制した父や祖父の血を引き継いだものなのでしょう。遅咲きの祖父の血が、これからの本馬の本格的な活躍を引き出すかもしれません。
母ヤマニンリコールは本馬を最後に死亡、兄弟にも後継馬は無く、本馬は大事な血統後継馬となるが、土井社長は最後に「レースでの怪我などは、考えても仕方ありません。まずは、勝つ事ですよ」とキッパリ。土井社長の英断は、今後の本馬の活躍に“ブラッドスポーツ”の面白さを示してくれることでしょう。第53回府中牝馬ステークス(GIII)は、江田照男騎乗のヤマニンアラバスタ(牝4歳、父ゴールデンフェザント)が1番人気に応えて優勝。前走新潟記念(GIII)に続いて重賞2連勝を飾った。2着には好位から伸びたマイネサマンサ、3着に昨年の覇者オースミハルカが粘った。2番人気ダンスインザムードは8着に終わった。