重賞ウィナーレポート

2007年08月12日 クイーンS Jpn3

2007年08月12日 札幌競馬場 晴 良 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:アサヒライジング

プロフィール

生年月日
2003年02月09日 04歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:15戦4勝
総収得賞金
243,563,000円
ロイヤルタッチ
母 (母父)
アサヒマーキュリー  by  ミナガワマンナ
馬主
寺内 正光
生産者
本巣 一敏 (浦河)
調教師
古賀 慎明
騎手
柴田 善臣
  • 本巣さんと母アサヒマーキュリー
    本巣さんと母アサヒマーキュリー
  • 一敏さん阿砂子さん夫妻と右が母アサヒマーキュリー~悪戯する仲間(左)に怒っている母(右)
    一敏さん阿砂子さん夫妻と右が母アサヒマーキュリー~悪戯する仲間(左)に怒っている母(右)
  • 母アサヒマーキュリー
    母アサヒマーキュリー
  • 放牧地
    放牧地
  • 本巣一敏牧場の入り口は天馬街道沿いにある
    本巣一敏牧場の入り口は天馬街道沿いにある
 クラシック、古馬重賞戦線に好走を続けながらも惜敗(オークス3着、秋華賞2着、ヴィクトリアマイル2着など)していた本馬がようやく重賞初制覇の栄冠を取った。
 生産牧場の本巣一敏さんは、預託の繁殖牝馬4頭を夫婦2人で飼養している家族経営の牧場。産駒の重賞制覇は、地方を含め創業者である先代の清治(きよじ)さん時代から初めての経験だっただけに待ちに待った栄冠だった。
 浦河町上杵臼にある同牧場は、7ヘクタールという面積だが、本巣さん夫婦の愛情豊かな管理が行き届き青草の広がる牧場は心地良い雰囲気が漂う。

 預託馬のオーナー寺内正光氏とは30年前に出会い、お世話になりながら二人三脚で生産活動を続けてきたという本巣さんは「ようやく勝ってくれて嬉しいですよ。でも、私自身は、こういう小さな牧場でやってきているので、何時も‘未勝利を勝ちあがってくれたら’という気持ちで産駒を送り出しています。
(本馬が)ここまで頑張って走ってくれているだけでも充分嬉しいのですよ。うちでは荷が重いほどの活躍です。でも、勝ってくれて皆さんが喜んでくれたので本当に良かった。」と安堵の表情の中には、寺内オーナーへ恩返しできた事への喜びが浮かぶ。
 また、本馬の惜敗が続いている間には、近隣の生産仲間が応援をし続けて、レースの出走の度に‘仕事はしてやるから’と競馬場へ行くよう言ってくれていたそうだ。
 ようやくの快挙にレースの晩の祝宴には仲間も多く駆けつけた。「ようやく旨い酒が飲めると皆さんも一緒に喜んでくれました。」と奥さんの阿砂子さんも笑顔を浮かべる。

 快走を続ける本馬の血統背景に喜ぶオールドファンも多いはずだ。
 本馬の父(ロイヤルタッチ)の母系に日高の名牝系として静内藤原牧場に継がれる血統で3代母がスターロッチ。母アサヒマーキュリーの父(ブルードメア)が浦河の谷川牧場に供用されるミナガワマンナ(父シンザン)と懐かしい名前が並び、本巣さんも「夢の配合でしょ」と悪戯っぽく笑う。
 本馬の母アサヒマーキュリーは大変仔出しの良い馬で現在までに10頭の産駒を持ち、半姉のアサヒヴィーナス(父コマンダーインチーフ)など6頭が未勝利を勝ちあがっている。
 今年は、本馬の活躍に再びロイヤルタッチを交配したそうだ。

 終始、謙虚に語る本巣さんだったが、本馬にはGⅠ制覇という期待が掛かる。実力馬としてGⅠ戦での優勝を思う関係者も少なくないようで、本巣一敏牧場がさらに大きなタイトルのプレゼントを手にするのも夢でもない。