重賞ウィナーレポート

2009年11月21日 福島記念 G3

2009年11月21日 福島競馬場 曇 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:サニーサンデー

プロフィール

生年月日
2006年03月21日 03歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:9戦3勝
総収得賞金
82,422,000円
マーベラスサンデー
母 (母父)
サニークラッシック  by  トニービン(IRE)
馬主
宮崎 守保
生産者
丸村村下ファーム (荻伏)
調教師
谷原 義明
騎手
吉田 隼人
  • 母のサニークラシック
    母のサニークラシック
  • 同

  • 母馬を囲んで、村下さんご家族と谷原調教師
    母馬を囲んで、村下さんご家族と谷原調教師
  • 当歳(牝 ストラヴィンスキー)を囲んで
    当歳(牝 ストラヴィンスキー)を囲んで
  • (有)丸村村下ファームの看板と放牧地
    (有)丸村村下ファームの看板と放牧地
 晩秋の“みちのく”を彩る名物重賞・第45回福島記念(G3)は軽量51kgの3歳馬サニーサンデーが快勝した。レッツゴーキリシマが引っ張る1000m57.5秒のハイペースの2番手に位置し、直線早めに抜け出した吉田隼人騎手の好騎乗が目立ったレースだったが、2着に追い込んできたのは兄・吉田豊騎手のトウショウシロッコ、津軽三味線ならぬ「吉田兄弟」の競演となった。

 優勝馬のサニーサンデーを生産したのは、浦河町野深にある(有)丸村村下ファーム。1999年に現在の牧場名になったが、以前は「村下ファーム」の名義で生産を行っていた。1997年の皐月賞(G1)、日本ダービー(G1)を勝った二冠馬サニーブライアンを送り出した他、先先代の村下松太郎氏名義の時代には関屋記念(G3)を勝ったマイスーパーマン、グレード制導入以前の小倉記念や京都牝馬特別を勝ったリネンジョオーなどを生産している。

 (有)丸村村下ファームの現在の代表は村下喜八さん。喜八さんご夫妻と、父の喜幸さんご夫妻の4人で繁殖牝馬11頭を飼養する家族経営の牧場だ。野深地区には「村下」姓の生産牧場が何軒もあるのだが、四代前の祖祖父にあたる村下志郎さんが従兄弟の「村下」さんと共に入植、三代前の祖父・松太郎さんが本家から分家し、この地に牧場を拓いたそうだ。野深地区の軽種馬生産者の「村下」さんは、遡れば全て同じ「村下一族」という事になる。

 今回、生産馬の口取りに初めて立ち会えたという喜八さんに喜びの声を聞いた。「自分が応援に行って生産馬が勝った事が無いので、競馬場に行くか行くまいか迷っていました。古馬との初対決になりますし、体はまだまだ成長途上なので、正直、うーん…と思っていましたが、勝てて本当に嬉しかったですね。最後の直線では自分の馬以外全く目に入らなくて、トウショウシロッコがクビ差まで追い込んで来ていたのも後で知ったくらいですよ。お世話になっているオーナーや、仕上げてくれた厩舎関係者の方々に感謝の気持ちで一杯です。」と喜びを語ってくれた。

 喜八さんが初めて生産馬の応援に行ったのが、サニースワローが参戦した1987年の菊花賞(G1)(5着)というから、22年目にして初めて立ち会えた口取りは格別の喜びだったそうだ。

 本馬の母サニークラッシック(父トニービン)は、サニーブライアンの6歳下の半妹にあたる。レースでは成績を上げることが出来なかったが、繁殖として期待されていた。初年度は残念ながら流産だったが、2年目にマーベラスサンデーが種付けされ、生まれたのが本馬になる。

 「当歳時から骨格がしっかりしていて期待していました。性格も良かったですね。母のクラッシックも、母の母サニースイフトもおっとりとした性格で手が掛からないので、それが伝わっているのでしょう。」と喜八さん。仔出しも良く、未勝利戦脱出間近の2歳サニーダニエル(牡、父チーフベアハート)、1歳(牝、父キングヘイロー)、当歳(牝、父ストラヴィンスキー)と産駒が続き、今年はキングカメハメハを受胎中とのことだ。

 本馬の母の母サニースイフト(サニーブライアンの母)は今年21歳になるが、現在も繁殖牝馬として元気に活躍中だ。今年は不受胎だったが、16年間で13頭の産駒を送り出しているというから立派な「かまど馬」(活躍馬を多数輩出する繁殖牝馬のこと)である。この他にも一族からはサニーペガサス(サニーブライアンの全妹)が繁殖に上がっていたが、残念ながら今年の出産直後に亡くなったそうで、スペシャルウィークの当歳牡馬が忘れ形見となる。後を継ぐ形で、通算4勝を挙げた娘のサニーアンジェリカが牧場に戻ってきたそうだ。

 本馬の次走には中山金杯(G3)が予定されている。「サニーブライアンが志半ばで引退となっただけに、とにかく無事に競走生活を続けて欲しいですね。」とエールを送る喜八さんの気持ちに応えて、長く元気に走り続けて欲しいものだ。

 取材当日、偶然にも本馬を管理する谷原義明調教師が牧場に来場され、母馬と当歳を囲んでの記念撮影に飛び入り参加して頂いた。谷原調教師も本馬の今後の活躍を大変楽しみにしているそうだ。