重賞ウィナーレポート

2009年08月09日 函館2歳S Jpn3

2009年08月09日 札幌競馬場 晴 良 芝 1200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ステラリード

プロフィール

生年月日
2007年03月03日 02歳
性別/毛色
牝/栗毛
戦績
国内:2戦2勝
総収得賞金
48,730,000円
スペシャルウィーク
母 (母父)
ウェルシュステラ(IRE)  by  Zafonic(USA)
馬主
広尾レース (株)
生産者
有限会社 ビクトリーファーム (浦河)
調教師
森 秀行
騎手
岩田 康誠
  • ビクトリーファームの育成厩舎
    ビクトリーファームの育成厩舎
  • 荻野さんとご家族
    荻野さんとご家族
  • ビクトリーファームの事務所
    ビクトリーファームの事務所
 「つくづく、私は運が良いと思いますね」と、やや戸惑いの表情でレースを振り返るのは生産馬ステラリードがJRAの2歳初重賞「函館2歳S」を制したビクトリーファームの荻野豊さんだ。ヤエノムテキなどを手掛けた荻野光男元JRA調教師の次男として生まれ、育成者として多くの活躍馬を送り出してきた荻野さんも、生産馬の早々の快挙に驚きを隠せない。

 「実は、レースの前から、何となく勝てるような、そんな気がしていたんですよ。今にして思えば根拠があるわけではなく、単なる願望だったんですけど」と笑った。牧場時代のステラリードは「おっとりした馬で、人間に対して自己主張するわけでもなく、扱い易い馬でした」という。

 母ウェルシュステラは、現役生活を引退後、開場したばかりのビクトリーファームで繁殖生活をスタートさせた。その所有者が荻野さんの牧場で働くスタッフと旧知の仲だったのが縁だという。

 「ザフォニックの良血繁殖で、JRA3勝馬。しかもスペシャルウィークを受胎した状態で当場にやってきました。普通なら、スタートさせたばかりの牧場にやってくるような馬ではありません。そういう意味では馬主さんにも恵まれました」というが、育成者としては20数年のキャリアを持つ荻野さんにとってもサラブレッドの生産は戸惑うことばかり。「とにかく生産に関してはド素人ですから、つねに、なぜ?どうする?と自問自答の毎日でした」と振り返る。周りにいる多くの人たちにアドバイスをもらいながら、経験の足りない分を知識で埋めていった。

 そうして生まれた「ウェルシュステラの2007」は離乳後、大樹ファームへ移動し、むかわ町のグローバル牧場に預けられた。「多くの人の手を経て競走馬となった馬ですが、今思えば、受け渡しが非常にスムーズでした。それが、こうして早い時期から活躍できた最大の要因だと思います」と周囲に感謝する。

 それを象徴するように、デビュー戦の馬場入り後に激しいイレ込みを見せた同馬は、レース後にグローバル牧場に戻り、岩田騎手が牧場で1週間前追いきりを行った。そして、レースの10日前に函館競馬場に入厩。軽めの追いきりでレースに備えた。すべて「馬のため」に配慮されたことだ。

 「育成牧場から見た、良い馬を作っていきたい」と生産者としての抱負を語る荻野さん。「サラブレッドの一生をとおして、常に係わり合いをもっていたい」という目標に向かって最高のスタートをきった。