サンライズマックスがゴール前、鋭い切れ味を見せて昨年末の中京・中日新聞杯以来の重賞制覇を果たした。
　新冠町高江にある生産牧場のヒカル牧場は、サラブレッド銀座（道路の両側には、牧場が続き同町で愛称として使用している）の中ほどに位置し、１０ｈａほどの敷地に９頭の繁殖牝馬を代表の吉田忠夫さん夫妻と、長男の清孝さん夫妻で飼養している。過去にはヒカルタカイ（天皇賞・春、宝塚記念）、ライデンリーダー（報知杯４歳牝馬特別）、タカイホーマ（クイーンＣ、サンケイＳ杯４歳牝馬特別、クイーンＳ）の重賞馬を生産。

　自宅の居間で家族と応援していた吉田忠夫さん、「残り２００ｍでは届かないと思いましたが、横山典弘ジョッキーの考えどおりの展開だったのですね。実力の互角なメンバーの中で上手く乗ってくれました。直線で抜け出た時は家族で大騒ぎでしたよ。レース前のパドックを見たら、本馬は中日新聞杯の時よりさらに大人の雰囲気を持っていましたね。秋は天皇賞が目標になるようですが、ヒカルタカイ（前述、天皇賞馬）に一歩近づきました。頑張って貰いたいですね。」と期待は膨らむ。

　本馬は、母グリーンヒルマック（母の父　ダンシングブレーヴ）の初仔で、やはり幼駒の頃は少し小さめの馬体をしていたそうだが、バランスの良い馬体を持ち、当時見にきた調教師も褒めていたという。幼駒の時には脚に怪我をした事があり、獣医の診断後に吉田さん自ら１ヶ月間丁寧に治療を続けたこともあった。甲斐があって怪我は完治し元気な幼駒は順調に育ったという。
　
　この牝系は牧場の代表血統後継馬で、導入は５代母のホマレタカイに遡るが、この時、吉田さんは中学生だった。当時、貨車で運ばれた同馬を新冠の駅から牧場まで牽いてきたという想い出を残す。
　その後、ホマレタカイの後継馬にはセダン、ダンシングブレーヴなどＪＢＢＡ所縁の種牡馬が肌に入り現在にいたる。祖母マックスフリート（祖母の父　ダンサーズイメージ）は笠松競馬の全日本サラブレッドＣなど重賞を５勝、その産駒ミラクルオペラはジャパンＣダートで３着と活躍している。
　本馬の半妹の３歳アオゾラ（父ムーンバラッド）は、現在地方で２勝を上げ中央への転厩が期待され、２歳の半弟（父コロナドズクエスト）は夏以降のデビューに向け、門別の坂東牧場で万全の仕上げ体制に入っているという。
　今年は、鼻まで伸びた流星や体のバランスが本馬にそっくりだという父グラスワンダーの仔が誕生し、来年は全兄弟の誕生を期し父ステイゴールドを配合したそうだ。

「古くから継いで来た後継馬の仔が走ると嬉しいですね」と語る吉田さん。生産馬の２度目の天皇賞制覇に期待がかかる。