重賞ウィナーレポート

2009年04月12日 桜花賞 Jpn1

2009年04月12日 阪神競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ブエナビスタ

プロフィール

生年月日
2006年03月14日 03歳
性別/毛色
牝/黒鹿毛
戦績
国内:5戦4勝
総収得賞金
1,386,433,000円
スペシャルウィーク
母 (母父)
ビワハイジ  by  Caerleon(USA)
馬主
(有) サンデーレーシング
生産者
ノーザンファーム (早来)
調教師
松田 博資
騎手
安藤 勝己
 圧倒的な単勝人気に答えて、牝馬クラシック一冠目を制覇。今年の桜花賞の「結果だけ」を見るのならそう思えるに違いない。ただ、「実際のレースを見た」者にとっては、到底届かないであろう場所からゴール板を先頭で駆け抜けたという衝撃のレースであり、また、ブエナビスタの強さが一層際だったレースとも言えた。

 「レースの後にお祝いの言葉をいただきましたが、その中で皆様がおっしゃってくれたのは、「凄い」との言葉でした」

 とノーザンファーム事務局の中尾義信さん。戦前の評価からすれば安心してレースを見られたのではないかと思うが、チューリップ賞を制した後にもお話を聞かせてもらった時と同様に、中尾さんは決してこの桜花賞を楽観視してはいなかった。

 「まだ、4戦しか戦っていないというキャリアの少なさもありますし、フルゲートとなるレースでは展開も違ってきます。他の路線から向かってくる馬たちにも能力が高い馬たちが揃っていましたので、チューリップ賞のようなレースはさせてもらえないのではと見ていました」(中尾さん)

 スタートして間もなく後方につけたブエナビスタではあるが、「魔の桜花賞ペース」と言われる乱ペースとはならず、縦長の隊列を組んだまま淡々と流れていく。

 「後方に位置したときは正直ひやひやもしましたが、徐々に加速してゴール前では図ったかのように差しきってくれました。この展開を読んでいたかのような鞍上の安藤勝己騎手の騎乗技術、そして力を出し切れる調整をしてくれた厩舎スタッフあっての結果と言えるのではないでしょうか」(中尾さん)

 安堵に浸る中尾さんが驚いたのは、ゴール後のブエナビスタの姿だった。上がり33秒3というメンバー中最速の脚を使いながら、まるで何事も無かったかのようにケロッとした表情で引き上げてくるブエナビスタには、まるで自分がやってのけた快挙など感じさせないようでもあったからだ。

 「息の入りが早いの見ても、心肺能力が高いのでしょう。改めてブエナビスタの持つ能力の高さを感じました」(中尾さん)

 圧倒的な強さに、「牝馬のディープインパクト」というキャッチフレーズも付けられるようになってきたが、同じノーザンファームが送り出した名馬との違いを、中尾さんはこう見る。

 「ディープインパクトはゴール前で他の馬をちぎるレースを見せていましたが、ブエナビスタは勝ち方のインパクトこそあるとはいえ、勝利してきた4戦あまり着差を付けてはいません。でもそれがブエナビスタの持つ真の強さを証明しているのかもしれません」(中尾さん)

 次走は陣営からオークスの出走が表明された。中尾さんは、

 「上位入着馬も強いレースをしていましたし、他の馬たちもまだまだ成長してくると思いますので、いいレースになると思いますよ」
 
 と話すが、ブエナビスタもまだ5戦しか戦っていない馬。ここまでの完成度に加え、これまでのレースで見せてきた成長力からすれば、必然的に樫の女王の座は、必然的にファンの誰もが望む結果となりそうだ。