重賞ウィナーレポート

2010年04月18日 皐月賞 G1

2010年04月18日 中山競馬場 晴 稍重 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ヴィクトワールピサ

プロフィール

生年月日
2007年03月31日 03歳
性別/毛色
牡/黒鹿毛
戦績
国内:6戦5勝
総収得賞金
595,954,000円
ネオユニヴァース
母 (母父)
ホワイトウォーターアフェア(GB)  by  Machiavellian(USA)
馬主
市川 義美
生産者
社台ファーム (千歳)
調教師
角居 勝彦
騎手
岩田 康誠
 「うちのOBで父でもあるネオユニヴァースと、全く同じ勝ち方をしてくれましたね」と社台ファームの長浜卓也さんならではの言い回しで振り返ってくれた今年の皐月賞(G1)。しかし、レース内容はそれほど楽なものではなく、むしろヴィクトワールピサの強さだけが際だったようなレースだった。

 長浜さんが話した通りに、ヴィクトワールピサは7年前の父が辿ったコースを辿るかのように、最後の直線でインコースに進路を取った。だが、目の前には壁となる先頭馬たち。だが、鞍上の岩田騎手は僅かな進路に馬の鼻先をねじ込み、その指示にヴィクトワールピサも鋭く反応し、栄光めがけて抜け出した。

 「本当に素晴らしい末脚でした。とにかく強いの一言に尽きます。山元トレーニングセンターを含めた、社台ファームのスタッフ全員が思っていることですが、これだけの馬に少しでも携われたことを嬉しく思います」(長浜さん)

 サンデーサイレンス産駒の2冠馬として、多大なる期待を受けて種牡馬入りしたネオユニヴァースは、初年度産駒から皐月賞(Jpn1)を制したアンライバルド、そしてダービー馬のロジユニヴァースと、2頭のクラシックホースを輩出する。

 「産駒の活躍は喜ばしいことでしたが、社台ファーム生産馬では目立った結果を残すことが出来ず、ネオユニヴァースに申し訳ない気持ちを持っていました。それだけに、2世代目となるこの世代から、活躍馬を送り出そうと牧場全体で力が入っていたことは言うまでもありませんでした」(長浜さん)

 その言葉は、この3歳世代における、社台ファーム生産馬のネオユニヴァース産駒の活躍にも現れている。皐月賞(G1)にはヴィクトワールピサだけでなく、きさらぎ賞(G3)を制したネオヴァンドーム(牡3、藤原英)も出走。また、昨年のいちょうSを優勝し、東京スポーツ杯2歳S(Jpn3)で2着となったトーセンファントムも、社台ファームが送り出したネオユニヴァース産駒である。

 「皐月賞(G1)に向けて周囲の期待が加速的に高まる中、ベストパフォーマンスを見せた本馬の勝負根性と鞍上を務めてくれた岩田騎手の度胸に感謝するだけですし、プレッシャーを跳ねのけて万全の仕上げを施してくれた角居厩舎陣営に敬意を表したいです。また、単勝での1番人気と、応援してくださったファンの方に厚く御礼申し上げます」と笑顔を見せる長浜さん。そんな長浜さんの表情が少しだけしんみりとしたあとに、こんな話をしてくれた。

 「この勝利は、様々な喜びを与えてくれましたが、何よりも長年お世話になっている市川義美オーナーの、初めてのG1制覇に携わることがきたのが最大の喜びです。レースはテレビ観戦でしたが、市川オーナーの涙が非常に印象的でした。オーナーとも交友が深かった故成田マネージャーがいたら、市川オーナーを見てきっともらい泣きしていただろうね、とスタッフと話していました」

 社台ファームにとっては、単に親子制覇という結果だけでは終わらない、数々のドラマがあった今年の皐月賞(G1)。しかし、再びダービー(G1)での親子制覇を目指すヴィクトワールピサにとっては、この勝利は通過点にしか過ぎない。5月30日の東京競馬場。その日はヴィクトワールピサがネオユニヴァースの代表産駒となる、記念すべき日となりそうだ。