重賞ウィナーレポート

2020年12月13日 阪神ジュベナイルフィリーズ G1

2020年12月13日 阪神競馬場 曇 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ソダシ

プロフィール

生年月日
2018年03月08日 02歳
性別/毛色
牝/白毛
戦績
国内:4戦4勝
総収得賞金
629,234,000円
クロフネ(USA)
母 (母父)
ブチコ  by  キングカメハメハ
馬主
金子真人ホールディングス (株)
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
須貝 尚介
騎手
吉田 隼人
  • ソダシを育成したノーザンファーム空港のC5厩舎
    ソダシを育成したノーザンファーム空港のC5厩舎
  • 毎週のように重賞勝ち馬が送り出されている
    毎週のように重賞勝ち馬が送り出されている

 白毛としては、世界初となるG1制覇を果たしたソダシ。その快挙もさることながら、白毛の競走馬が誕生する確率が一説には0.04%とされていることからしても、もはや、白毛として産まれてきてくれただけで奇跡という気がしてくる。

 しかしながら、ソダシの誕生に立ち会ったノーザンファームの船田武彦厩舎長は、また違った感情で、真っ白な仔馬を見守っていた。

 「正直、自分たちは白毛を見慣れていただけに、出産前には、この血統で白くなかったらどうしようと考えていました。ソダシが誕生した時も白毛で、そして無事に誕生してくれたことに安心しました」

 船田厩舎長がこの牝系に携わるようになったのは、祖母のシラユキヒメからとなる。時に白毛に出ない産駒もいたが、ソダシの母であるブチコは、その名の通りに白毛に斑毛が入った馬だった。

 「母のブチコは気性面で難しい面がある馬でしたが、特別、人に対して手を焼かすようなところはありませんでした。ソダシは初仔となりますが、子育ての問題も無かったですし、いいお母さんになってくれています」

 生まれてきたソダシは初仔特有の小ささも無かったどころか、父クロフネから受け継いだしっかりとした骨格の上に、母ブチコ譲りと言える肉付きの良さも遺伝されたことで、毛色を抜きにしても、幼少期から目を引く馬だったという。

 「この馬体、そして血統構成共に、ダートで活躍をしていくと思っていました。それだけに芝で4連勝をするような活躍をするとは、到底思えなかったですね」

 これまでソダシが勝利したレースの中でも、船田厩舎長にとって、最も印象深いレースがアルテミスS(G3)だったという。

 「札幌2歳S(G3)をレコードで勝ってくれた時には、もの凄い馬だと思っていましたが、ただ、パワーも必要とされる洋芝での勝利だったこともあり、スピードが要求される東京の芝コースでどこまでやれるのかとも思っていました。それだけに好時計をマークしながら、あれだけ強いレースを見せてくれたことは驚きでした」

 そして阪神JF(G1)では、母譲りと言える勝負根性を発揮しての勝利。今年は白毛馬として初めてとなるクラシック制覇の期待もかかるが、船田厩舎長は次走に予定されている桜花賞(G1)に向けて、もう一つ楽しみにしていることがある。

 「小倉2歳S(G3)とファンタジーS(G3)を勝利したメイケイエールも、自分の厩舎で管理させてもらった馬であり、産まれた時期も近かったこともあって、隣の馬房だっただけでなく、同じ放牧地で管理をしてきた馬になります。阪神JF(G1)に2頭が出走してくれた時は嬉しかったですし、メイケイエールもいい状態で桜花賞(G1)に臨んでもらいたいです」

 ちなみにソダシの母であるブチコと、メイケイエールの母であるシロインジャ-は仲も良く、子供同士も一緒に遊んでいたという。白毛ながらも特徴が違っていただけにできた管理と言えよう。

 「これも、金子オーナーがシラユキヒメを牧場に預けてくださったからこそ叶えられたドラマだと思います。この牝系も広がりを見せていく中で、自分たち繁殖スタッフだけでなく、イヤリングスタッフや、育成スタッフも白毛の管理をさせていただきました。それぞれのチームがノウハウを蓄積していった結果が、ノーザンファームで生産された、白毛の活躍に繋がっているとするなら嬉しいですね」

 船田厩舎長は無敗の快進撃を続けるソダシのレースぶりを見て、現時点で最も適した条件は芝のマイルではないかと話す。

 「自分の中では、東京芝のマイル戦でしっかりと走れる牝馬はかなり強いと思っていますし、阪神JF(G1)と同じ条件で行われる桜花賞(G1)ならば、更に安定したレースができそうです。ぶっつけで臨むことになりますが、今から楽しみにしています」