重賞ウィナーレポート

2020年10月31日 スワンS G2

2020年10月31日 京都競馬場 晴 良 芝 1400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:カツジ

プロフィール

生年月日
2015年04月27日 05歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:17戦3勝
総収得賞金
171,145,000円
馬主
(株) カナヤマホールディングス
生産者
岡田スタツド (静内)
調教師
池添 兼雄
騎手
岩田 康誠

 マイルチャンピオンシップ(G1)への重要な前哨戦となるスワンステークス(G2)が10月31日、京都競馬場で行われ、岩田康誠騎手に乗り替わった11番人気のカツジが、じんわり先行策からハナを奪い、そのまま押し切って優勝。2018年のニュージーランドトロフィー(G2)以来、約2年7か月ぶりの勝利で重賞2勝目を飾り、マイルチャンピオンシップ(G1)への優先出走権を手中にした。

 カツジが生まれたのは、北海道新ひだか町の岡田スタッド。2007年の有馬記念(G1)優勝マツリダゴッホや16年JRA賞最優秀ダートホースのサウンドトゥルー、重賞19勝スマートファルコンなどの個性派を送り出してきた牧場だが、近年ではクラブ法人ノルマンディーファームの母体としても馴染み深いかもしれない。

 レースを終えて開口一番、「いやぁ、びっくりした」と声をあげたのは岡田スタッドグループの岡田牧雄代表だ。

 「追いきりの動きがすごく良かったとは聞いていましたが、それでも近走の成績からは半信半疑。逃げたのはジョッキーの判断だとは思いますが、今回のような競馬が出来たことは、これからのこの馬にとっては良い経験になったと思います」と笑顔を広げた。

 ディープインパクト産駒のカツジは、岡田スタッドにとっては言うまでもなく生まれたとき、いや生まれる前からの期待馬だった。母メリッサは岡田スタッドの生産馬で、北九州記念(G3)を勝った活躍牝馬。2つ上の全兄には、やはり雄大な馬格から繰り出す末脚を武器に京成杯オータムハンデ(G3)や関屋記念(G3)に勝ち、現在は種牡馬となっているミッキーグローリーがいる血統だ。

 その期待通りにデビュー2戦目にデイリー杯2歳S(G2)で2着となり、3歳春のニュージーランドトロフィー(G2)で重賞初制覇。NHKマイルカップ(G1)にまで駒を進めたが、その後は骨折による長期休養もあって、近走はスランプ状態。岡田さんも「折り合って競馬をすることが出来れば、最後は必ず良い脚を使う馬。休み明けを1度使われたぶん、前走(オパールS)よりは良い競馬をしてくれるとは思っていましたが、まさか勝てるとは」と嬉しい誤算ににっこり。

 しかも、まさかの先行押し切り勝ち。「この馬のお母さんも、お兄さんも、そして本馬自身も末脚自慢の馬」。実際、2018年のマイルチャンピオンシップ(G1)では全兄ミッキーグローリーとともに兄弟そろって最後方待機。2頭が記録した33秒4の末脚は、出走メンバー最速の上りタイムとなって、兄弟で掲示板を確保している。

 「もちろん種牡馬の力もあるのだろうけど、メリッサには頭があがりません。カツジの5代母にあたるサンマリノは、牧場の創業者でもある私の父親が導入した馬で大切にしてきたファミリーです。もともと多産系の一族ということもあって血をつないでくることができましたが、ここまで来たら、さらに発展させたい」。残念ながら今年は不受胎だったそうだが、現在2歳世代、1歳世代にはディープインパクト産駒の牝馬がいて、ドゥラメンテの当歳牡馬もいる。何よりもメリッサ自身が、年明けてもまだ17歳という現役繁殖牝馬なので、楽しみが広がろうというもの。

 「マイルチャンピオンシップ(G1)はさらに相手が強くなりますが、カツジ自身に入着経験があるレース。頑張ってほしい」とエールを送っている。