2020年07月26日 アイビスサマーダッシュ G3
優勝馬:ジョーカナチャン
プロフィール
- 生年月日
- 2015年02月03日 05歳
- 性別/毛色
- 牝/鹿毛
- 戦績
- 国内:12戦5勝
- 総収得賞金
- 107,486,000円
- 馬主
- 上田 江吏子
- 生産者
- 三村 卓也 (新冠)
- 調教師
- 松下 武士
- 騎手
- 菱田 裕二
新潟競馬場の1000m直線コースを使って行われる真夏の短距離王決定戦「第20回アイビスサマーダッシュ(G3)」は菱田裕二騎手騎乗で2番人気ジョーカナチャンが逃げ切り勝ち。重賞初挑戦の舞台を初勝利で飾り通算成績を12戦5勝とした。菱田裕二騎手は一昨年の阪神C(G2)(優勝馬ダイアナヘイロー)以来の重賞勝利で通算3勝目。管理する松下武士調教師にとっては昨年の阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)に続く重賞勝利で通算7勝目。父のロードカナロアにとっては通算29勝目の重賞勝利、2020年サマースプリントシリーズにおいては函館スプリントS(G3)を勝ったダイアトニックに続く重賞勝利となった。
ジョーカナチャンは新冠町で牧場を営む三村卓也さんの生産馬。競馬とは無縁の環境で育ちながらもサラブレッドに魅せられて高校と卒業と同時に北海道の牧場で修業したのち、1993年から牧場をスタートさせた三村さんにとっても初のJRA重賞勝利となった。
無理に手を広げることなく、毎年5頭前後の生産馬を大切に育てている三村さんにとって、JRA重賞競走への出走は2016年新潟2歳S(G3)以来のこと。さぞ、楽しみにしていたのだろうと当時の心境を尋ねると「もちろん楽しみにはしていましたが、人気になっていたのは同じ新冠地区で頑張っている仲間の生産馬。前走、同じ舞台で敗れた時よりも斤量差が縮まっていましたし、その馬を応援するような気持ちで見ていました。せめて枠順が逆だったら、少しは意識したのかもしれませんが」とそっけない。聞けば「レースの前は、あまり欲張らないようにしているのです。ジンクスみたいなものです」と頭をかいた。
そんな生産者の思いを乗せて勢いよくゲートを飛び出した愛馬は、前走と同じようにハナを切った。ただ、前走と違ったのは2番手につけていた人気馬の手応えが先に怪しくなってことだ。
「何しろ、ゲートが空いたらあっという間にゴールというレースですから、この手応えならもしかしたら、と思ったらもうゴールでした。2番人気という評価をいただいておりましたし、嬉しいというよりもほっとしたという気持ちの方が大きかったかもしれません」。
それは、応援してくれたファンに対する感謝の気持ちはもちろん、ジョーカナチャンを競走馬として育ててくれた人たちや、そして何度も骨折しながらも辛抱強く待っていただいたオーナーや、厩舎に対する感謝の気持ちとともに生産者として重賞勝ち馬を送り出したことに対する気持ちだったのかもしれない。
「今のジョーカナチャンがあるのは、オーナーが馬を大切にしてくれたから。良いオーナーに巡り合うことができて、幸せな馬だと思います」と言葉を続けた。
「ロードカナロアの初年度産駒ですから、どんなタイプに育ってくれるのかを注目していたのですが、生まれたときはごく標準的な体型でしたが、生まれて10日もしたらどんどんお尻が大きくなってきたのです。やっぱり、ロードカナロアの仔なんだなと感心したのを覚えています。5歳馬とはいえレースキャリアが少ない分、まだ伸びしろはあると思っています。無事が一番ですが、これからもこの馬らしい競馬を期待してほしいですね」と期待に胸を膨らませている。