重賞ウィナーレポート

2020年01月12日 シンザン記念 G3

2020年01月12日 京都競馬場 曇 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:サンクテュエール

プロフィール

生年月日
2017年02月13日 03歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:3戦2勝
総収得賞金
70,838,000円
ディープインパクト
母 (母父)
ヒルダズパッション(USA)  by  Canadian Frontier(USA)
馬主
(有) キャロットファーム
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
藤沢 和雄
騎手
C.ルメール
  • 明け2歳馬の調教も順調に進む
    明け2歳馬の調教も順調に進む
  • 過去にはメジャーエンブレムの騎乗育成も行っていた
    過去にはメジャーエンブレムの騎乗育成も行っていた

 ノーザンファーム生産のディープインパクト牝馬。しかも、母ヒルダズパッションはアメリカのG1勝ち馬であり、半兄ヨシダは一昨年にウッドワードS(G1)、ターフクラシックS(G1)と芝とダート、それぞれのG1レースを優勝。その注目度の高さもあって、デビュー前から多くの媒体で取り上げてきたサンクテュエールが、出世レースとされるシンザン記念(G3)を優勝。牝馬クラシック戦線の主役に名乗りをあげた。

 「育成時からセンスのいい走りをしていて、乗りやすい馬という印象がありました。管理をしてきた自分たちにとっても大きな期待をかけていただけに、この勝利は嬉しいです」と話すのはノーザンファーム空港の東谷智司厩舎長。イヤリングから来た頃は、胴長の体型が目立っており、調教でも前後のバランスが取れていないような走りをしていた時期もあったと話す。

 「ただ、調教を続けて行くにつれて、動きに『芯』が入ってきたような印象がありました。この辺は段階を踏みながら成長していくディープインパクト産駒ならではかと思います」

 走りの良さだけでなく、体型的にも距離は長くてもいいと感じていた東谷厩舎長であるが、入厩までの期間とレース後の調整も手がけていた、ノーザンファーム天栄の旧知の厩舎長からは、「マイルの向きの馬だと思う」との言葉が聞かれてきたという。

 「実際に勝利したデビュー戦や、2着に敗れたと言えども能力の片鱗を示してくれたアルテミスS(G3)、そしてこのシンザン記念(G3)と、芝のマイルで安定した成績を残してくれています。そのアルテミスS(G3)ですが、勝ったリアアメリアも同じノーザンファーム空港の育成馬でした。完成度の高さは牧場でも評判だっただけに、どこまで食い下がれるのだろうと思っていましたが、2着だったとはいえども、改めてサンクテュエールの能力の高さを実感しました」

 10頭立てで行われたシンザン記念(G3)だが、その中にサンクテュエールを含めた牝馬は3頭。実は東谷厩舎長の管理するA3厩舎では、昨年もこのレースに育成馬のパッシングスルーを出走させていた。

 「昨年のパッシングスルーも、牡馬が相手でもいいところを見せてくれると期待していましたが、結果は4着でした。サンクテュエールには昨年以上の着順に来て欲しいとの思いもありました」

 スタートは決して良くなかったサンクテュエールであるが、ルメール騎手に促されながらポジションを上げていく。最後の直線で先に抜け出したプリンスリターンの内から脚を伸ばして、ゴール前での叩き合いに持ち込んでいく。結果はクビ差という僅差のレースとなったが、やはり勝負所までロスの無いレース運びが、最後の一伸びに繋がったと見るべきなのかも知れない。

 「馬も頑張ってくれたと思いますが、やはり藤沢先生や厩舎スタッフの皆さん、そしてノーザンファーム天栄のスタッフが、いい状態で競馬を使ってくれたことが、この結果に繋がったと思います。感謝しかありません」と東谷厩舎長。これでマイルは3戦2勝、2着1回というほぼパーフェクトな成績となったが、このシンザン記念(G3)で見せたゴール前の脚色や、鞍上の意のままに動ける走りを見ても、距離の融通も利きそうな気がしてくる。

 「マイル適性の高さからしても、桜花賞(G1)は合っていると思いますし、同じ世代が相手ならば、距離も克服できるような走りもして見せてくれるのではと期待をしています。まずは無事にクラシックに挑んでもらいたいです」

 今後の大舞台に向けて心強いのは、やはり、G1馬の名前が並ぶその母系。サンクテュエールがヒルダズパッションに「日米G1馬の母」との称号を授ける日は、そう遠いことでは無さそうだ。