2019年10月20日 菊花賞 G1
優勝馬:ワールドプレミア
プロフィール
- 生年月日
- 2016年02月01日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/黒鹿毛
- 戦績
- 国内:6戦3勝
- 総収得賞金
- 455,943,000円
- 母 (母父)
- マンデラ(GER) by Acatenango(GER)
- 馬主
- 大塚 亮一
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 友道 康夫
- 騎手
- 武 豊
メールドグラースがコールフィールドC(G1)優勝を果たした次の日、同じくノーザンファーム生産馬のワールドプレミアが、菊花賞制覇を成し遂げた。
メールドグラース、ワールドプレミアともに、育成は同じノーザンファーム早来の山内厩舎。クラシック最後の一冠を京都競馬場まで応援にきた山内大輔厩舎長の前で、ワールドプレミアはそのエールに応えるような走りを見せた。
「育成時からフットワークの良さが目立っており、馴致を手がけたスタッフからも『いい馬ですね』との声が聞かれていました」と話すのは山内厩舎長。実はワールドプレミアは山内厩舎長にとっても、縁が深い馬であり、騎乗スタッフ時代は全兄となるワールドエースの調教にも幾度となく跨がってきた。
「母のマンデラは、ワールドエースを誕生させた後は牝馬が続いており、なかなかこの血統に接する機会がありませんでした。育成時はまだまだ線が細く、デビュー戦こそ勝ってはくれましたが、もう少ししっかりとさせて送り出せていれば、その後の活躍も違ってきたのではとの思いもありました」
また、この頃のワールドプレミアはデビュー戦の後からのソエにも悩まされていた。若葉Sでは2着に入り、皐月賞(G1)の優先出走権こそ掴んだものの、関係者の協議の結果、皐月賞(G1)に向かうのは難しいとの判断がされた。
「能力的にもここで無理をする馬では無かったとも思いますし、結果的にはその判断がワールドプレミアにとって良かったのかもしれません」
牧場に戻ってきたワールドプレミアに対して、山内厩舎長は一度、リセットするつもりで調整を始めていく。成長期にあった身体を膨らませていくだけでなく、ソエの症状が治まってからは、坂路だけでなく、ダートコースでの乗り込みも平行していった。
「最初は馬自身も脚元を気にしていたのか、ゴトゴトするような乗り味がありました。それでも騎乗を重ねていくうちにそれも気にならなくなってきて、いつしか馴致を始めた頃に感じた、フットワークの良さを取り戻していくようにもなりました」
復帰の予定はソエを含めた馬の状態を見極めてからであり、菊花賞(G1)出走も1つのプランでしか無かった。しかしながら、どんどん良化していったワールドプレミアはトライアル出走の青写真も描けるようになっていく。
その神戸新聞杯(G2)は3着に破れたものの、そのレース内容を見て、菊花賞(G1)でも十分に勝負になるとの手応えを山内厩舎長は掴んでいた。
「負けたとは言えども、終いの脚も良かったですからね。乗った印象としても距離の不安も無かったので、十分にチャンスはあると思っていました」
菊花賞(G1)のパドックの姿を見せたワールドプレミアの馬体重は、神戸新聞杯(G2)よりもプラス12㎏となる484㎏。その充実した馬体を見て、山内厩舎長の期待は更に膨らんでいった。
3枠5番からのスタートとなったワールドプレミアは、その枠を生かすかのように、好位をキープしたままレースを進めて行く。その走りからは折り合いの不安は全く感じられず、最後の直線ではため込んでいた瞬発力を爆発させるかのように、一気に馬群から抜け出していく。
その外には1番人気に推されたヴェロックス、そして後方からサトノルークスが追い込んでくるも、ワールドプレミアはその追い込みをクビ差凌ぎきって、初重賞制覇を初G1制覇で飾って見せた。
またこの菊花賞(G1)制覇は、オーナーである大塚亮一氏にとっても、初めてのG1勝利となった。
「オーナーには若葉Sの後で待ってもらえただけに、何とか結果を出したいとの思いもありました。それがこの結果に繋がったのは本当に良かったです」
ワールドプレミアと山内厩舎長の繋がりはもう一つある。育成スタッフだった頃、その背中に跨がってきたのが、父であるディープインパクト。父が今年の夏に亡くなってから、これが最初のG1勝利でもあり、また、鞍上を務めた武豊騎手にとっても、この勝利がディープインパクトが勝利した05年以来の菊花賞(G1)勝利となった。
ワールドプレミアの次走だが、有馬記念(G1)を予定。3歳最強馬の1頭として、次は古馬に挑むこととなる。
「まだ完成仕切っていない馬ですが、馬体重だけでなく身体つきからしても、良化しているのは間違いありません。それだけに次走も楽しみですね」
ゆくゆくはその名前の通りに、世界での活躍も見込めそうなワールドプレミア。有馬記念(G1)はそのステップとなるのかもしれない。