2歳シーズン総括(カツゲキドラマ)
「グランダム・ジャパン」2歳シーズンの初代チャンピオンは、今や地方競馬を代表する女傑として君臨しているクラーベセクレタ(船橋)だが、2012年度も未来のスター誕生を予感させる幕開けとなった。
9月に行われた第1戦「園田プリンセスC(園田)」に、デビューから負けなしの4連勝中だったカツゲキドラマ(笠松)が遠征。1.1倍の圧倒的な人気に支持されると、その期待に応えて2着馬に4馬身差をつける圧勝劇を見せつけた。
次走、南関東へ遠征した第3戦「ローレル賞(川崎)」では4着と敗れたが、地元に戻って満を持して臨んだ第4戦「プリンセス特別(笠松)」に優勝し、ここまでに25ポイントを獲得。第2戦のダートグレード「エーデルワイス賞(門別)」に優勝したハニーパイ(北海道)に5ポイントの差をつけ、最終戦の「東京2歳優駿牝馬(大井)」へ再び遠征することとなった。
「東京2歳優駿牝馬」には、デイジーギャル(大井)、ケンブリッジナイス(船橋)、メロディアス(船橋)と、「ローレル賞」でカツゲキドラマに先着している地元馬が参戦。また北海道から、目下のライバルであるハニーパイも遠征してきて、「グランダム・ジャパン2012」2歳シーズンチャンピオンの座をめぐって、大晦日の大井競馬場は熱気に包まれた。
結果、1番人気のカイカヨソウ(船橋)が優勝し、ケンブリッジナイスが鋭く追い込んで2着。カツゲキドラマは4着と敗れたものの、7ポイントを加算して合計32ポイント。15ポイントを加算したケンブリッジナイス、また7着に敗れたハニーパイは共に合計22ポイントに終わり、10ポイントの差をつけて、カツゲキドラマが3代目となる「グランダム・ジャパン」2歳女王に輝いた。
カツゲキドラマは、父クロフネ、母アジアンリゾート、母の父Capoteという血統。全兄には2010年の兵庫ダービーを制したハイパーフォルテ(兵庫)がいて、叔父(母の半弟)には2008年の菊花賞馬オーケンブルースリ(JRA)がいる。
2010年4月に新冠町の飛渡牧場で産声を挙げたカツゲキドラマは、古豪マルヨフェニックスなどを管理する笠松・柴田高志厩舎へ入厩し、2012年6月に笠松競馬場でデビュー。新馬戦を5馬身差で圧勝すると、2戦目3馬身差、3戦目4馬身差、4戦目3馬身差と、地元に敵なしの快勝を続け、初遠征で臨んだのが「グランダム・ジャパン」2歳シーズンの初戦「園田プリンセスC」だった。
南関東へ遠征した2戦はいずれも4着と敗れたが、後方からまくって先行集団に追いすがる見せ場たっぷりのレース内容。全国レベルの実力を証明して、地方競馬の3歳シーズンを牽引していく存在になってくれるものと期待されたが、残念ながら骨折が判明。数々のスターホースを輩出してきた笠松競馬の逸材だけに、無事に復帰して、また全国のファンに強いレースを見せてほしい。
クロフネ産駒は、とにかく牝馬の活躍が目立つ。2012年のJRA賞4歳以上牝馬に選出されたカレンチャン、2008年のスプリンターズSを制したスリープレスナイト、2012年のヴィクトリアマイル馬ホエールキャプチャなどのG1馬を筆頭に、地方競馬場で行われる交流重賞を制したブラボーデイジー、ユキチャン、ホワイトメロディーなど、ダート競馬で活躍した牝馬も多い。
引退間もない馬が多いので、それらの産駒はこれからベールを脱ぐことになるのだろうが、すでに母の父にクロフネを持つ活躍馬も出始めている。2011年の関東オークスを制したカラフルデイズ(父フジキセキ)、2012年のオークス3着馬アイスフォーリス(父ステイゴールド)、2011年の桜花賞4着馬メデタシ(父ディープインパクト)、そして先日行われたエルフィンSで3着したグッドレインボー(父ステイゴールド)などがその筆頭格だ。それぞれの父の名を見て分かるように、活躍馬の多くがサンデーサイレンス系。この配合パターンの活躍馬は、これから更に増えてくることだろう。
カツゲキドラマ自身は、デピュティミニスターの3×4、ノーザンダンサーの5×5というクロスを持つ。JBIS-Searchの「架空血統表」でサイアーランキング上位馬とカツゲキドラマの相性を調べてみると、ほとんどのケースで5代までのクロスは発生しないが、唯一、シンボリクリスエスとの間にシアトルスルーの4×4というクロスが生じる【架空血統表1】。日本では、シアトルスルーのクロスを持つ馬をあまり見かけないが、2012年の桜花賞3着馬アイムユアーズ(父ファルブラヴ)には、シアトルスルーの4×5というクロスが入っている。
カツゲキドラマが繁殖となる頃には種牡馬事情も変わっていると思われるが、元気な姿でレースに復帰し、クロフネ牝馬を代表するような活躍を見せて、将来は立派な母親となってほしい。