GRANDAME-JAPAN 2013 優勝馬のふるさとを訪ねて ロジータふたたび。

古馬シーズン総括(アスカリーブル)

3歳シーズン総括(エイシンルンディー)

古馬シーズン総括(アスカリーブル)

2歳シーズン総括(カクシアジ)


「グランダム・ジャパン2013」古馬シーズン最終戦「レディスプレリュード(Jpn2・大井)」で6着になり、総合優勝を決めたアスカリーブル

「グランダム・ジャパン2013」古馬シーズンのチャンピオンは、船橋のアスカリーブルに決定。北海道のシャイニングサヤカと同ポイントながら、最終戦の「レディスプレリュード(Jpn2)」でアスカリーブル6着、シャイニングサヤカ11着という結果を受け、規定により最終戦の着順上位馬であるアスカリーブルの頭上に栄冠が輝いた。古馬シーズンのポーナス賞金は、1位1000万円、2位200万円、3位100万円と定められており、1位と2位の賞金差は実に800万円。そう考えると、非常に大きな最終戦の着順差だったと言える。


アスカリーブルは「グランダム・ジャパン2013」古馬シーズン第4戦「兵庫サマークイーン賞(園田)」で圧倒的1番人気に支持されるが、地元兵庫のマンボビーンに敗れる

アスカリーブルは、2歳6月に兵庫所属馬としてデビュー。4戦目には重賞の「園田プリンセスカップ」をデビューから無敗のまま制し、「グランダム・ジャパン2011」2歳シーズンの2位に入る健闘をみせた。2歳秋に転厩して主戦場を南関東へ移すと、3歳シーズンは圧巻のレースを続ける。南関東牝馬クラシック第2弾「東京プリンセス賞」優勝を皮切りに、3歳牝馬ダートグレードの「関東オークス(Jpn2)」、牡馬も混じった3歳重賞「黒潮盃」「戸塚記念」と重賞を4連勝。「グランダム・ジャパン2012」3歳シーズンは惜しくも2位に終わったが、「NARグランプリ3歳最優秀牝馬」を獲得。南関東はもちろん、地方競馬を代表する存在に台頭した。

4歳となったアスカリーブルが目指したのは、2歳、3歳と惜しくも2位に終わった「グランダム・ジャパン」のタイトル。7月の「兵庫サマークイーン賞(園田)」、9月の「ビューチフル・ドリーマーカップ(水沢)」と「グランダム・ジャパン2013」古馬シーズンの指定レースに照準を定めて遠征し、共に2着。2レースで20ポイントを獲得し、最終戦の「レディスプレリュード(Jpn2)」6着で悲願の総合優勝を勝ち取った。


アスカリーブルの生まれ故郷、北海道日高町の高山牧場

アスカリーブルは、父ブラックタキシード、母ステキナデアイ(母の父ホワイトマズル)という血統。2009年に北海道日高町の高山牧場で、母の2番仔として生まれている。「人懐っこくて丈夫な馬でした」と生産者の高山さんが振り返るように、扱いやすい気性の馬だったようだ。

父のブラックタキシードは、1999年のプリンシパルS、セントライト記念(G2)を制し、その年の日本ダービー(G1)でも5着に入った活躍馬。テイエムオペラオー、アドマイヤベガ、ナリタトップロードの3強がクラシックを分け合った世代で、サンデーサイレンスの5世代目産駒に当たる。母の父はストームキャットで、近年ニックスとして話題になっている父ディープインパクト×母父ストームキャット(キズナ、アユサンなど)よりも一代濃い配合だ。種牡馬としては、2008年の佐賀記念(Jpn3)を制したチャンストウライや、昨年の桜花賞トライアル・フィリーズレビュー(G2)でメイショウマンボの2着に入ったナンシーシャインなどを送り出している。

一方の母ステキナデアイは、ホッカイドウ競馬で4戦して未勝利のまま繁殖入りしたホワイトマズル産駒。近親に目立った活躍馬がいるわけでもなく、せりに上場されたアスカリーブルも買い手がつかなかった。しかし生産者の高山さんは、シーバード(英ダービー、凱旋門賞など)が入る牝系と、父から伝わるサンデー系の底力に懸けて、その成長を見守った。

2013年末までに、ダートグレードを含む重賞6勝と、まさに期待以上の成績を収めているアスカリーブル。祖父にサンデーサイレンスを持つという血統背景から、将来的に繁殖牝馬としても注目されることになりそうだ。三冠馬オルフェーヴルをはじめ、同じく祖父にサンデーサイレンスを持つ種牡馬が年々増えつづけている。当然、その産駒の中から種牡馬入りする馬が出てくる可能性は高く、アスカリーブルとの配合も可能になってくるだろう。その場合、アスカリーブルの産駒にはサンデーサイレンス4×3というクロスが発生することになる。おそらく10年後ぐらいには、そんな話題も出始めるだろうと想像すると楽しみが広がる。


「グランダム・ジャパン2013」古馬シーズン第5戦「ビューチフル・ドリーマーカップ(水沢)」で、アスカリーブル、ショウリダバンザイ、クラキンコといった強豪を退けて優勝したシャイニングサヤカ

惜しくも2位に終わったシャイニングサヤカは、2013年シーズンで競走生活を終え、生まれ故郷の伏木田牧場へ戻って繁殖生活に入った。こちらは父キングヘイロー、母シンセイアカリ(母の父マヤノトップガン)という血統。サンデーサイレンスの血が入っていないので、配合相手にも幅広い選択肢がある。初年度の種付予定を生産者の伏木田さんに伺うと、「トビーズコーナーを予定しています」とのこと。トビーズコーナー(父ベラミーロード)は、ウッドメモリアルS(米G1)を制するなど、ダート競馬で12戦5勝の戦績を残したアメリカ産馬。現役引退後に日本へ輸入され、浦河町の日高スタリオンステーションで2013年シーズンより種牡馬生活に入った。初年度の種付頭数は48頭。間もなくその初年度産駒たちが誕生してくる。


シャイニングサヤカの生まれ故郷、北海道浦河町の伏木田牧場

種牡馬トビーズコーナーの評価が定まるのはまだ先だが、日本で大成功したサンデーサイレンス、ブライアンズタイム共にアメリカで競走生活を送った馬。またウッドメモリアルS優勝馬であるエンパイアメーカーの産駒たちが、日本の馬場で大活躍しているのも心強い。シャイニングサヤカの勝利はすべて地方のダートで挙げたものだが、中央の芝レースでも好走実績があるスピードの持ち主。ダンシングブレーヴ、グッバイヘイロー、ブライアンズタイムといった世界的一流馬の血が流れるシャイニングサヤカから、どんな産駒が誕生してくるか楽しみだ。牝馬であれば、母があと一歩届かなかったグランダム・ジャパンのタイトルを狙ってほしいとも思う。


シャイニングサヤカの生産者・伏木田修さんと半弟(父プリサイスエンド)


グランダム・ジャパン