重賞ウィナーレポート

2025年12月27日 ホープフルS G1

2025年12月27日 中山競馬場 曇 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ロブチェン

プロフィール

生年月日
2023年04月09日 02歳
性別/毛色
牡/黒鹿毛
戦績
国内:2戦2勝
総収得賞金
78,662,000円
ワールドプレミア
母 (母父)
ソングライティング(USA)  by  Giant's Causeway(USA)
馬主
フォレストレーシング
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
杉山 晴紀
騎手
松山 弘平
  • 14頭の管理馬からのG1ホースとなった
    14頭の管理馬からのG1ホースとなった
  • ロブチェンは厩舎長として手掛けた最初の世代となる
    ロブチェンは厩舎長として手掛けた最初の世代となる

 2019年の菊花賞(G1)でG1初制覇を果たし、2021年の天皇賞(春)(G1)をレースレコードで制したワールドプレミア。2022年から新冠町の優駿スタリオンステーションで種牡馬入りすると、その年には53頭の繁殖牝馬に配合。次の年には25頭の産駒が誕生する。

 「ワールドプレミアは育成スタッフだった頃に、幾度となく騎乗してきた馬となります。背中が柔らかい上に、乗り味も物凄くいい馬だったので、必ず活躍すると思っていました」と話すのはノーザンファーム早来の加我烈士厩舎長。現3歳世代が育成厩舎長として手掛ける最初の世代となるが、その管理馬の中にいたのがワールドプレミアの産駒となるロブチェンだった。

 母ソングライティングは米国産馬。自身は中央競馬で勝ち鞍を上げられなかったものの、祖母Embur's Songは現役時に重賞で3勝をあげており、近親にも重賞馬の名前が並ぶ。繁殖入りしてからは毎年のように産駒を送り出しており、ロブチェンの半兄にあたるブラックボイスは、2024年の春麗ジャンプSを優勝している。

 ロブチェンは2023年4月9日にノーザンファームで誕生すると、10月24日に行われたノーザンファームミックスセールの当歳市場へと上場。2,310万円(税込)で(同)雅苑興業によって落札されている。

 この年のミックスセールに上場されたワールドプレミア産駒は、ロブチェン1頭だけであった。ノーザンファームとしてもこの年の産駒数は決して多くはなかったが、その貴重な産駒が父を良く知る加我烈士厩舎長の元で管理されるのは必然だったのかもしれない。

 「騎乗育成を始めた頃のロブチェンは、せりでも評価されたような馬体のバランスの良さはありましたが、決して目立った動きをしていたわけでなく、全く人の手を煩わせることもなかったので、良くも悪くも目立たない馬でした。乗り味も父と比べるとそこまで柔らかくもなく、本格化するのは先になると思っていました」

 当時、加我厩舎では14頭の育成馬を管理していた。その中には早い時期から頭角を現してきた馬もいたものの、ロブチェンは春先になってから一気に頭角を現していくようになる。

 「折り合いも付く馬なので、坂路の出だしはゆっくりと入っていくのですが、鞍上のゴーサインに反応すると、身体が沈み込んで、ビュンと切れるような動きを見せるようになりました」

 その後もじっくりと牧場で乗り込まれていったロブチェンは、2歳の9月に本州へと移動。11月9日のメイクデビュー京都(芝2,000m)に出走すると、果敢にハナを切っただけでなく、メンバー中上がり最速の脚を繰り出して、2着馬に3馬身差を付けての快勝。この勝利がワールドプレミア産駒にとって、JRA初勝利となった。

 陣営が2戦目に選んだのは、いきなりのG1挑戦となるホープフルS(G1)。1勝馬ながらも出走が叶った時に、加我烈士厩舎長は「勝負運を持っている」と思ったという。

 「新馬戦も普通に走れば負けないだろうっていう感触はありました。ホープフルS(G1)はさすがにメンバーが揃ったとは思いましたが、枠(2枠4番)もいいところに入れただけに、人気は無くとも、自分のレースができたのならば、勝負になるのではと期待をしていました」

 レース当日は早い冬休みに入っていた厩舎のスタッフもいた中、加我烈士厩舎長は厩舎の休憩室から声援を送っていた。

 スタートが切られると、まずレースの主導権を奪いに行ったのはテーオーアルアイン。前走では逃げたロブチェンであったが、中団のインコースで脚を溜めていくレースを選択していく。

 「折り合いの付く馬だっただけに、道中は安心して見ていられました。勝負どころに入った時に馬体が沈み込んだのですが、その姿を見た時に、牧場の坂路でもここから一気に切れる脚を使っていたと思いました」

 最後の直線でインコースから、馬場の真ん中へと進路を変えたロブチェンは、身体を沈み込ませながら一気に加速していく。その勢いのままにゴール板を先頭で駆け抜けていった。

 「直線で進路を切り替えてからは、無我夢中になって叫んでいました。その後からスマホに次々と着信が届いただけでなく、牧場にいた主任の皆さんも代わる代わるといった感じで、おめでとうと言いに来てくれました」

 種牡馬となったワールドプレミアだけでなく、加我烈士厩舎長にとっても、これが初めての重賞勝ち馬であり、そして初めてのG1勝ち馬となった。ホープフルS(G1)がG1に昇格してから、1勝馬の勝利はこれが初めてであり、グレード制が導入された1984年以降でも1戦1勝馬の勝利は3頭しかいないという、まさに快挙でもあった。

 「厩舎としても2歳戦から活躍できる馬を目標としてきましたし、その先の目標として2歳重賞での活躍も志してきました。ロブチェンは9月まで牧場で管理させていただきましたが、自分だけでなく共に働いてくれているスタッフにとっても、この結果は自信となりました」

 そして、レース後には競馬場に応援に行っていた牧場スタッフからは、オーナーであるフォレストレーシングの関係者が、とても喜んでいたと聞かされたという。

 「オーナーにはとてもお世話になってきただけに、馬の活躍を通して恩返しできたのも嬉しかったです。そしてワールドプレミアに携わってきた者としても、種牡馬としての評価を高められたのをホッとしています」

 そのワールドプレミアの現役時のように、ロブチェンもまた菊花賞(G1)の頃に良くなると思っていたという加我烈士厩舎長であるが、2歳時にG1を制しただけでなく、皐月賞(G1)と同じ舞台で結果を残したことで、春のクラシック戦線からの活躍も見込まれる。

 「松山弘平騎手もまだまだ緩いと話していたように、本格化するのはこれからだと思っています。このまま無事に活躍を続けて欲しいと願うだけでなく、春のクラシックは競馬場に応援に行きたいです」

 次走は共同通信杯(G3)を予定。東京コースでも強い勝ち方を見せた時、皐月賞(G1)制覇だけでなく、日本ダービー(G1)制覇も現実となってきそうだ。