2025年12月07日 チャンピオンズC G1
優勝馬:ダブルハートボンド
プロフィール
- 生年月日
- 2021年02月03日 04歳
- 性別/毛色
- 牝/鹿毛
- 戦績
- 国内:8戦7勝
- 総収得賞金
- 245,094,000円
- 父
- キズナ
- 母 (母父)
- パーシステントリー(USA) by Smoke Glacken(USA)
- 馬主
- 有限会社シルク
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 大久保 龍志
- 騎手
- 坂井 瑠星
前身となったジャパンCダート(G1)時代も含めて、チャンピオンズC(G1)を制した牝馬は、2015年のサンビスタしかいなかった。
これはダートレースが、トップクラスになればなるほど斤量差が出にくくなっているだけでなく、一線級の牡馬が長く活躍する傾向にあるダート重賞において、牝馬がその出走枠に入っていくのが難しいという事実もある。
だが、サンビスタの快挙から10年、再び重い歴史の扉をこじ開けたのが、前走のみやこS(G3)で牡馬を退けて、この舞台へと臨んできたダブルハートボンドだった。
「レースの後には電話、LINEと物凄い件数の着信がありました」と笑顔を見せるのが、ノーザンファーム空港の菅原洸厩舎長。厩舎長としての仕事を任されるようになってから、ダブルハートボンドが初めて送り出したG1馬であり、その事実を知っている関係者にとっては、まさに自分のことのような喜びだったに違いない。
前走のみやこS(G3)は、ダート1,800mのJRAレコードという圧巻のレースとなった。だが、ダブルハートボンドは元々、脚部にトラブルを抱えてデビューが遅くなった馬でもあり、菅原洸厩舎長は速いタイムで走った反動を心配していた。
「ネットや新聞の記事などだけでなく、最終追い切りに騎乗した坂井瑠星騎手からも、終いの反応が鈍いという言葉が出ていたので、調子落ちで無ければいいなと思っていました」(菅原洸厩舎長)
レースは自宅のTVで見ていた菅原洸厩舎長だったが、パドックでも歩様の堅さといったネガティブなコメントばかりが聞こえてくるようになっていたものの、画面越しの姿はそこまで悪くは見えなかった。
「いつものダブルハートボンドだなと思っていました。むしろ、みやこS(G3)よりもメンバーが更に強化されたので、そちらの姿に目が行っていました」
ゲートが開くと、まずウィリアムバローズがハナを奪いに行くも、好スタートを切ったダブルハートボンドもそこに並びかけていく。外からはシックスペンスも2頭に並びかけてきて、その勢いのままに先頭へと躍り出るも、かぶせられる形となったダブルハートボンドはすんなりとポジションの2頭の後ろに下げた。
「あの場面で控えてくれたのはジョッキーの好判断だったと思います。その後もいい形でレースを運んでいけました」
最後の直線で2頭に並びかけたダブルハートボンドは、鞍上の坂井瑠星騎手が手綱を動かすと、一気に先頭へと躍り出る。他馬を寄せ付けないスピードの持続力こそが、ダブルハートボンドの真骨頂であるが、その抜け出しを図っていたかのように、インコースから脚を伸ばしてきたのがウィルソンテソーロだった。
「直線に入ってからの手ごたえが良かったので、そのまま!との思いでしたが、その後、ウィルソンテソーロに並ばれてからは、声を発することができなくなっていました」
残り200mを過ぎてからのマッチレース。一瞬、ウィルソンテソーロが前に出た瞬間も画面に映し出された大接戦となったが、写真判定の結果、僅か9cmだけ前に出ていたのはダブルハートボンドだった。
「牝馬であれだけの勝負根性を示してくれたのは驚きでした。しかも前走とは違って、力のいる馬場でのレースとなったに関わらず、勝ちきってくれた姿も驚きでした」
そして先述したように、このチャンピオンズC(G1)勝利がダブルハートボンドだけでなく、菅原洸厩舎長の管理馬としては初めてのG1勝利となった。
「嬉しさもひとしおです。ダブルハートボンド自身、来年以降も大きなタイトルを勝ってくれると思いますし、育成厩舎としてもこの馬に続く活躍馬をコンスタントに送り出していきたいです」
厩舎の休憩所には、2023年の関東オークス(Jpn2)の優勝馬となったパライバトルマリン、そして、紫苑S(G2)では2着となり、今年の秋華賞(G1)でも4着となったジョスランのゼッケンが飾られていた。今後はここにダブルハートボンドが幾つもの記念の品を並べていくのだろう。
















