重賞ウィナーレポート

2025年11月30日 京阪杯 G3

2025年11月30日 京都競馬場 晴 良 芝 1200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:エーティーマクフィ

プロフィール

生年月日
2019年05月06日 06歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:30戦6勝
総収得賞金
204,377,000円
マクフィ(GB)
母 (母父)
テンシンランマン  by  ハーツクライ
馬主
岡田 隆寛
生産者
岡田牧場 (静内)
調教師
武 英智
騎手
富田 暁

 京都開催の掉尾を飾る短距離重賞「第70回京阪杯(G3)」が11月30日に京都競馬場で行われ、道中は、馬群の中団を追走した富田暁騎手騎乗の7番人気エーティーマクフィが、最後は大外から豪快に脚を伸ばして差し切り勝ち。3度目のJRA重賞挑戦、デビュー30戦目で重賞ウィナーの仲間入りを果たした。武英智調教師にとっては今年の東京ハイジャンプ(JG2)(優勝馬ジューンベロシティ)に続く重賞勝利で通算15勝目。手綱を取った富田暁騎手にとっては2023年セントウルS(G2)(同テイエムスパーダ)以来の勝利で通算2つ目のJRA重賞タイトルとなった。

 エーティーマクフィの生まれ故郷は新ひだか町の岡田牧場。1935年創業という歴史ある牧場で、1961年に法人化。これまで、その歴史の中でサンドピアリス(エリザベス女王杯(G1))、ヤマカツエース(NZトロフィー(G2)など)、タマモストロング(マーチS(G3)など)を送り出し、現在は10名ほどのスタッフで、年間の生産頭数は約50頭。ほか、関連会社の目名共同トレーニングセンターを使って丈夫で強い馬づくりに励んでいる。

 同トレーニングセンターの岡田隆寛代表は京都競馬場のパドックで、程よく気合を表に出して歩く愛馬を心強く見ていたそうだ。「前走のキーンランドC(G3)から馬体重が14kg増えていましたが、これは春から夏にかけて減っていた体重が戻ったもの。秋の陽射しを受けて、馬の状態はとても良く見えました。これなら、恥ずかしい競馬はしないだろうなと思いました」。そんな生産者の期待に応える快走劇。1番人気馬を1馬身引き離してのゴールだったが、勝利を確信したのはゴール板を過ぎてからだったという。「外から来ていたのはわかりましたが、見ていた場所がゴール正面ではなく斜めだったので、良くわかりませんでした」と苦笑い。それでも「あとからVTRを見たら強い内容でしたね」と目尻を下げた。

 母のテンシンランマンは社台コーポレーション白老ファームの生産馬。2016年の(株)ジェイエス繁殖馬セールで購入した。「初仔となるクロフネを受胎した状態での上場でしたが、真っ黒で、とても見栄えがする馬。ひとめぼれでした」と白い歯を見せ「3歳春のフローラS(G2)ではデニムアンドルビーと差のない競馬をした馬。予算内で購入できて良かったです」と繁殖牝馬としての期待を口にしてくれた。マクフィとの配合は「テンシンランマンがハーツクライの3世代産駒で、まだブルードメアサイアーとしての実績がほとんどない時代です。当時、手探り状態ではありましたが、相性の良さそうなミスタープロスペクター系種牡馬の中から生まれたばかりの初年度産駒の評価が高かったマクフィを選びました」と、その理由を話してくれた。そうして生まれた本馬は「5月生まれでしたので、同世代のほかの馬に比べると少し小さめでした」とはいうものの、見事セレクションセールに合格。晴れて競走馬としての第一歩を踏み出している。

 2017年金鯱賞(G2)(ヤマカツエース以来)となる生産馬のJRA重賞勝利に岡田隆寛代表は「今回はペースと馬場状態に恵まれたという面は否定できないと思いますが、重賞を勝つというのは力がなければ出来ないこと。重賞勝馬というタイトルに恥じない競馬をして欲しいです」と密かにエールを送っている。