2025年11月23日 マイルChS G1
優勝馬:ジャンタルマンタル
プロフィール
- 生年月日
- 2021年03月21日 04歳
- 性別/毛色
- 牡/黒鹿毛
- 戦績
- 国内:9戦6勝
- 総収得賞金
- 712,498,000円
- 母 (母父)
- インディアマントゥアナ(USA) by Wilburn(USA)
- 馬主
- (有) 社台レースホース
- 生産者
- 社台ファーム (千歳)
- 調教師
- 高野 友和
- 騎手
- 川田 将雅
これまでに日本競馬では数々の「名マイラー」と呼ばれる牡馬がいた。そんな名マイラーたちでも達成できなかったのが、牡馬が出走可能となる、中央競馬で行われている芝のマイルG1 (朝日杯フューチュリティS(G1)、NHKマイルC(G1)、安田記念(G1)、マイルChS(G1))の全制覇である。
ジャンタルマンタルはデビューから10戦かつ、考えられる限り最も短い時間でこの偉業を達成してみせた。
「マイルChS(G1)を勝てば、前人未到の大記録となります。それだけに、勝つためにはどういうプログラムで夏を過ごせば良いのかと、馬の状態を見つつ、スタッフ一同で様々なアイディアを出しながら、日々接してきました」と話すのは、社台ファーム山元トレーニングセンターの吾田一也調教主任。2歳の朝日杯フューチュリティS(G1)から、3歳のNHKマイルC(G1)、そして4歳を迎えてからの芝の両マイルG1優勝と、成長力を示してきたジャンタルマンタルであるが、そこには吾田一也調教主任や山元トレーニングセンターの調教スタッフといった、関係者の努力によるところも大きい。
山元トレーニングセンターでの調整のあと、秋初戦となる富士S(G2)に望んだジャンタルマンタルは、59kgの斤量を背負いながら最後の直線へと向かっていくも、先に抜け出したガイアフォースを捉えられずに2着に敗れる。
そこからマイルChS(G1)までは約1か月のレースとなったが、ここでリセットをさせる意味で、陣営は山元トレーニングセンターに輸送。11月6日に栗東へと戻ると、1週前追い切り、最終追い切り共に素晴らしい動きを見せていく。
「富士S(G2)の後は東京競馬場から、直接、山元トレーニングセンターに戻すことも、そのアイディアの一つでした。前々から考えていたことでもあり、何一つの不安もなく、厩舎へと送り出すことができました」(吾田一也調教主任)
マイルChS(G1)は、まさにジャンタルマンタルの独壇場となった。前走で先着を許したガイアフォースだけでなく、昨年のマイルChS(G1)の勝馬であり、今年のドバイターフ(G1)でも香港最強馬のロマンティックウォリアーを下したソウルラッシュ。そして、今年のヴィクトリアマイル(G1)を制したアスコリピチェーノといった、G1ホースも名を連ねる中、ファンは単勝1.8倍という圧倒的な支持で、ジャンタルマンタルを一番人気に推し上げていく。
レースも「テン良し、中良し、しまい良し」を地で行くような、完璧なレース運びだった。先手を奪ったのはトウシンマカオを射程圏に置く形で3番手からの競馬となったジャンタルマンタルは、最後の直線で馬場の真ん中に進路を構えると、そこから一気に先頭に躍り出る。
そのままセーフティーリードを保っていくと、馬群から脚を伸ばしてきたガイアフォースを振り切って優勝。着差は1馬身と3/4ながらも、力の違いは歴然だった。
レース後、吾田一也調教主任は鞍上を務めてきた川田将雅騎手、そして、高野厩舎のスタッフから、「完璧、言うことがない」との声をかけられる。
「その言葉を聞いた時には、万感の思いでした。中間を任せてもらった者として最高の評価であり、また仕事の励みにもなりました」
今年に入ってからの両マイルG1勝利で、JRA賞最優秀マイラーのタイトルもほぼ確実となった感はあるが、それよりも大きな喜びを吾田一也調教主任と山元トレーニングセンターのスタッフたちは得たとも言えそうだ。
















