2025年11月09日 みやこS G3
優勝馬:ダブルハートボンド
プロフィール
- 生年月日
- 2021年02月03日 04歳
- 性別/毛色
- 牝/鹿毛
- 戦績
- 国内:7戦6勝
- 総収得賞金
- 121,692,000円
- 父
- キズナ
- 母 (母父)
- パーシステントリー(USA) by Smoke Glacken(USA)
- 馬主
- 有限会社シルク
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 大久保 龍志
- 騎手
- 坂井 瑠星
3歳8月のデビューから、ダートの中距離戦で連勝を重ねていったダブルハートボンド。連勝はブリーダーズGC(Jpn3)で止まるも、みやこS(G3)では牡馬を相手に重賞初制覇を飾った。
父は産駒の芝、ダート適性だけでなく、距離も問わない活躍で、今年のリーディングサイアーの首位となっているキズナ。母パーシステントリーはG1パーソナルエンサインS(G1)の勝馬であり、近親にもG1の名前が並ぶ良血馬となる。
デビュー前には注目の2歳馬として、メディアにも取り上げられたほどに高い能力も兼ね備えていながら、様々なアクシデントがあり、デビュー時期は遅れていった。
「ゆっくりとした成長ながらも、騎乗した時の軽い走りや柔軟性は、能力の高さを感じさせていました」とはダブルハートボンドの騎乗育成を手掛けた、ノーザンファーム空港の菅原洸厩舎長。2歳の夏に管理を行っている大久保龍志厩舎に移動するも、その後の外傷、3歳を迎えてからも深管骨瘤を発症し、デビューの時期はずれ込んでいった。
「クラシックも沸かせるのではとの期待を持っていましたが、弱いところも持ち合わせていた馬だっただけに、こちらでも調教は慎重に進めていました。昨年の冬から3歳の春までこちらで調整していた時期もあったのですが、未勝利戦の時期が短くなっていたので、無事に勝ち上がれるか不安にもなっていました」
それでも調教の動きを見ていると、その不安は払拭された。キャンターで見せるフットワークの良さは別格であり、無事にデビューさえできたのならば、相当の馬になるとの期待は膨らんでいった。
「2歳時に送り出した時、そして3歳時に送り出した時も、芝向きの馬だと思っていました。それだけにダートでデビューさせると聞いた時は驚きましたが、そのレース内容には衝撃を受けました」
デビュー前の追い切りは1本だけであり、それも目立った時計ではなかった。経験を積んできた他の出走馬たちに比べると、臨戦体勢は整っていないとの評価もあり、このレースでは4番人気での出走となったが、このレースでは2着に1秒差をつけての快勝。続く3歳1勝クラスでは2着馬に1秒9差、着差は大差勝ちと能力の違いをまざまざと見せつけた。
「デビュー戦で結果を出さなければ、今後のチャンスが少なくなると思っていた中で、あの勝ちっぷりには驚かされました。2戦目のレースを見て、これは本物だと思いました」
2戦目を勝ちあがった後に骨折が判明するも、ダブルハートボンドの能力の高さは誰もが認めるところとなっていた。約4か月ぶりのレースとなった、2勝クラスの恵那特別、3勝クラスの舞鶴Sでも1番人気に応えて勝利をあげると、強豪ひしめくダートのオープンクラスの三宮Sでも、その勢いのままに勝利をあげる。
「ブリーダーズGC(Jpn3)は2着に敗れましたが、負けて強しのレース内容だったと思います」
次走はJBCLクラシック(Jpn1)を予定していたが、賞金が足りずに除外となった結果、陣営が選んだのはみやこS(G3)だった。
「一線級の牡馬を相手に、どんなレースをしてくれるのだろうと思っていました。脚質的にも前に行くなとは思っていましたが、それでもゴールまで粘り切るとは思っていませんでした」
不良馬場でのレースとなる中、隣の枠に入ったレヴォントゥレットも先手を主張する形となり、2頭でのマッチレースが続いていく。1,000m通過が59秒3というハイペースで流れていく。
「前でレースをしていくとは思っていましたが、速い流れとなっていたので、残し切れないのではないかと思っていました」
ただ、後続馬も追走でスタミナを消耗しており、最後の直線で先頭に立ったダブルハートボンドをなかなかとらえきれない。ゴール前ではサイモンザナドゥが追い込んでくるも、クビ差凌ぎ切ってのゴール。1分47秒5の勝ち時計はダート1,800mのJRAレコードともなった。
「ゴールの瞬間は、ただただ強いと思いました。決して順調な競走生活ではなかっただけに、大久保龍志先生や厩舎の皆さん、そして、ノーザンファームしがらきのスタッフには感謝しかありません」
次走は優先出走権を得たチャンピオンズC(G1)への出走を予定。ここでも人気を集めるのは間違いない。
「どこかで芝を使ってくれないかなとも思っていましたが、更にメンバーが強くなっても、今のダブルハートボンドならいいレースをしてくれると思います」と期待を寄せる菅原洸厩舎長。チャンピオンズC(G1)における牝馬の優勝となれば、2015年のサンビスタ以来となるが、その快挙ですら、持ち前のスピードで難なくクリアしてしまいそうだ。
















