2025年11月03日 JBCスプリント(中央交流) Jpn1
優勝馬:ファーンヒル
プロフィール
- 生年月日
- 2019年04月05日 06歳
- 性別/毛色
- 牡/黒鹿毛
- 戦績
- 国内:28戦7勝
- 総収得賞金
- 221,035,000円
- 母 (母父)
- ラブディラン by Dylan Thomas(IRE)
- 馬主
- (株) カナヤマホールディングス
- 生産者
- 谷岡牧場 (静内)
- 調教師
- 荒山 勝徳
- 騎手
- 笹川 翼
国内で唯一のダート短距離Jpn1「JBCスプリント(Jpn1)」が11月3日、船橋競馬場1,000mを舞台に14頭立てで行われ、積極的にレースを引っ張った笹川翼騎手騎乗の5番人気ファーンヒル(牡6歳、父キンシャサノキセキ、母ラブディラン)が逃げ切り勝ち。7月の「習志野きらっとスプリント」9月の「アフター5スター賞」に続き、重賞3連勝。初のダートグレード勝利をJpn1の大舞台で飾った。管理した荒山勝徳調教師にとっては2017年のJBCLクラシック(Jpn1)(優勝馬ララベル)に続くJBC競走2勝目。手綱を取った笹川翼騎手にとっては2023年のイグナイターに続くJBCスプリント(Jpn1)制覇となった。
ファーンヒルの生まれ故郷は新ひだか町の谷岡牧場。今年で創業90年を迎えた日高の名門牧場である。1935年に創業者の谷岡増太郎氏が広島県から門別厚賀に入植し、アラブ馬の生産を始めた。敗戦後はGHQ農地解放政策によって土地や馬の縮小を迫られ、結局、サラブレッド1頭、アラブ1頭の繁殖牝場を伴って現在の静内の地に移植した。
1960年代に入ると2代目当主の谷岡幸一氏がサラブレッド専門牧場として運営を始め、1971年には生産馬牝馬トウメイが天皇賞(秋)・有馬記念を優勝して年度代表馬に選出される栄誉を得た。「サクラ」の冠で知られるさくらコマースの全演植氏との出会いをきかっけに英国から繁殖牝馬スワンズウッドグローヴ(父Grey Sovereign)を導入。ダービー馬サクラチヨノオーや最優秀2歳牡馬サクラホクトオーの祖となっている。
現在は、繁殖牝馬およそ20頭規模で生産しているほか、後期育成も手掛けており「1頭1頭、ていねいにつくる」という創業当時からの基本姿勢を変えることなく、馬づくりに励んでいる。
谷岡牧場の3代目当主の谷岡康成氏はこの日、船橋競馬場で愛馬優勝の瞬間に立ち会うことが出来た。「JRAでもオープン級で2着、3着の経験がある馬ですが、南関東に移籍してから、馬場が合うのかもしれません。今回と同じ船橋競馬場の1,000mコースを経験していることも大きかったと思います。中央時代はゲートが良くなかったのですが、移籍後はゲートもスムースにいくように成長しています。また、この日は稍重馬場であったのもこの馬にはぴったりで、スタートさえ決まれば好勝負できると思っていました」と笑顔を広げた。
ファーンヒルの祖母ゴンチャローワは2008年の英国タタソールズ社ディセンバーセールに、のちに本馬の母ラブディラン(父ディラントーマス)を受胎した状態で上場されたところ、谷岡牧場代理人によって15万ギニーで落札されている。「当時はリーマンショック後の円高相場という追い風がありました。そういう意味でファーンヒル誕生は、当時の経済情勢が後押ししてくれたのかもしれません」と母馬導入のエピソードを話し「この母系からはファイングレイン(父フジキセキ、2008年高松宮記念(G1)優勝馬)が出ており、導入当時にフジキセキ系種牡馬から選んだのがキンシャサノキセキ。そうして生まれたカシアスが函館2歳S(G3)に勝った翌年に同じキンシャサノキセキを配合して生まれたのがファーンヒル。幼いころからこの馬はオープンクラスまでには上がってくれるとは期待していました。芝コースでも3戦して3着2回ですから悪くはなかったと思いますが、4戦目からダートに変えてからは見違えるように成績を上げていったので“いつかは重賞を!”とひそかに期待していたのです。今回がダート初戦のママコチャとは経験の差があったとはいえ、こうして大きなタイトルを取ることが出来て嬉しいです」と嬉しそうに答えてくれた。
















