重賞ウィナーレポート

2025年10月25日 アルテミスS G3

2025年10月25日 東京競馬場 雨 稍重 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:フィロステファニ

プロフィール

生年月日
2023年02月07日 02歳
性別/毛色
牝/黒鹿毛
戦績
国内:2戦2勝
総収得賞金
36,857,000円
エピファネイア
母 (母父)
スキア(FR)  by  Motivator(GB)
馬主
(有) 社台レースホース
生産者
社台ファーム (千歳)
調教師
中内田 充正
騎手
川田 将雅

 現2歳世代好調の社台ファーム生産馬だが、その中からまた重賞馬が誕生した。半兄に富士S(G2)の勝馬ヴァンドギャルド、そして2023年の皐月賞馬であるソールオリエンスを持つフィロステファニが、アルテミスS(G3)を優勝した。

 「当歳時から一貫して評価の高かった馬です。生産、イヤリング、育成と、この馬に携わった全てのスタッフが高評価を与えていましたし、とにかく運動センスの塊のような馬でした」と話すのは社台ファームの東礼治郎場長。ヴァンドギャルドやソールオリエンスといった、このきょうだいの成長過程を見てきた東礼治郎場長の目からしても、フィロステファニは特別な存在に見えていた。

 社台レースホースの所属馬であるフィロステファニは、「スキアの23」として総額8,000万円(1口出資額200万円, 40口満口)で募集されていく。募集馬ツアーでも目を引く存在であり、そこでもバランスの取れた馬体や歩様の良さを高く評価されていた。

 騎乗育成を始めた頃は小柄だった馬体も日に日に大きくなっていっただけでなく、調教でも柔軟な動きは損なわれることは無かった。スタッフからは気性の良さも評価されており、春先に社台ファームで行われる2歳馬の取材でも真っ先に名前が挙がってくる程の期待馬となっていた。

 3月31日に社台ファームを出発したフィロステファニは、山元トレーニングセンターを経由して、4月10日に管理先である中内田厩舎へと移動。そこでデビューまでの鍛錬を積まれていくと、7月27日のメイクデビューでは競り合いを制して初戦を飾る。

 その後、山元トレーニングセンターで調整された後、9月の下旬に中内田厩舎へと帰厩。順調に調整を積まれた後、アルテミスS(G3)への出走が決まる。人気こそ白毛馬のマルガに譲ったものの、レースでは先手を取っていった、マルガをマークする形でレースを進めていくと、最後の直線ではマルガといった先行馬を交わして先頭に立つと、そのまま押し切る強いレースで重賞初制覇を飾る。

 「翌年のクラシック戦線に乗せていくために、獲りたいレースを満点の内容で制してくれました」と話す東礼治郎場長。ただ、レース後に右前肢の繋ぎに腫れが見つかり、検査の結果、右前肢の屈腱炎を発症が判明した。その後、山元トレーニングセンターで経過観察を行うも、運動再開の目処が立たない程に重度の症状との診断もあり、現役引退が発表された。

 「血統的にも将来を嘱望されていただけに、故障が判明し、引退となってしまったことは痛恨の思いです」と東礼治郎場長も声を落とす。あまりにも早い引退、そして繁殖入りとなったが、素晴らしい血統背景と、その優れた競走能力を産駒に伝えてもらいたい。