2025年10月12日 アイルランドT G2
優勝馬:ラヴァンダ
プロフィール
- 生年月日
- 2021年03月10日 04歳
- 性別/毛色
- 牝/黒鹿毛
- 戦績
- 国内:16戦3勝
- 総収得賞金
- 164,490,000円
- 馬主
- 森永 聡
- 生産者
- 森永 聡 (新冠)
- 調教師
- 中村 直也
- 騎手
- 岩田 望来
昨年まで同時期に行われていたアイルランドT府中牝馬S(G2)を引き継ぐ形で新設された「第1回アイルランドT(G2)」が10月12日、東京競馬場で行われ、道中は中団の外目を進んだ岩田望来騎手騎乗の4番人気ラヴァンダが直線で外から力強く脚を伸ばして優勝。デビュー16戦目、8回目の重賞挑戦で初のタイトルを手中に収めた。管理した中村直也調教師にとっては昨年の新潟大賞典(G3)(優勝馬ヤマニンサルバム)以来のJRA重賞勝利で通算4勝目。岩田望来騎手にとっては今年の葵S(G3)(優勝馬アブキールベイ)に続く重賞勝利で今年5勝目、通算17勝目のタイトルとなった。
ラヴァンダとは、イタリア語でラベンダーを意味する言葉。繊細で美しい見た目と、ハーブの女王とも呼ばれる落ち着いた香りを持つ事から「優美」あるいは「期待」「幸せを運んでくれるもの」などの花言葉を持つ北海道を代表する多年草だ。生産したのは新冠町の森永聡さん。1968年に父親である正志さんが創業した牧場を引継ぎ、小規模ながらも「馬ファースト」をモットーに丁寧な馬づくりを行っている牧場だ。現在は父親も含めた家族だけの手で繁殖牝馬7頭を管理しているという。
「生産馬ですからもちろん頑張って欲しいと期待はしていましたが、前走で2勝目をあげたばかりの馬ですから、正直言えば4番人気くらいに頑張ってくれれば上出来かなと、そう思っていました」と競馬場に足を運んだ森永聡さんは、パドックで程よく気合を表に出しながら周回を重ねる愛馬の姿に「昨年秋に比べるとずいぶんと落ち着いていて、大人になったという印象を受けました。だから勝てたのかもしれませんが、レース前は落ち着きすぎていて、もしかしたらピークを過ぎてしまったのではないかと思ったほどです。でも、終わってみれば強い勝ち方でした。厩舎の方々が馬を理解し、手をかけてくれたおかげだと思っています」と感謝の言葉で喜びを表現した。
ラヴァンダは、森永聡さんにとっては思い入れのある血統だ。「曾祖母のファーガーズプロスペクトは1994年のキーンランドセールでの取引馬です。正直言えば、この時は馬を買いに行くというよりも、本場のせりを、自分の目で勉強したいという思いで、地元の仲間と一緒に足を運びました」。馬を選んだのは従兄弟に当たる森永牧場の森永秀美さんだったというが、森永秀美さんはファーガーズプロスペクトを落札したあと、自身にとっての〝本命馬〟も予算内で購入。そのため、ファーガーズプロスペクトは森永聡さんが引き取ることになり、母としてゴッドインチーフ(桜花賞(G1)4着)やオメガスピリット(ヌーヴォレコルトの母)などを送り、ゴッドインチーフはオヤコダカ(兵庫ジュニアGP(Jpn2)2着)やミューチャリー(JBCクラシック(Jpn1))の祖母にもなった。「縁があったといえばあったのでしょうが、従兄弟には頭があがりません。でも、この血統はウチだけではなく、色々な牧場に幸せを運んでくれています」と話してくれた。
そんな森永聡さんは、自身が役員を務めている(株)優駿の種牡馬を積極的に配合している。ラヴァンダの父シルバーステートも、母の父ベーカバドも、祖母の父コマンダーインチーフもすべて(株)優駿が期待を込めて導入した種牡馬ばかり。「少しは役に立てたかな」と胸を撫でおろしている。
「自分たちにとっては2006年の七夕賞(G3)(優勝馬メイショウカイドウ)以来の重賞勝利。それくらい、JRAの重賞を勝つということは大変な事なのです。これからの活躍を期待すると同時に頑張ってくれた馬と、この馬に関わったすべての人に感謝しながら、無事に牧場に戻ってきてくれる日を楽しみにしたい」と期待に胸を膨らませながら、笑顔を広げている。
















